RPAが進化したIPAとは?IPAが可能にする業務例を紹介│コボットLAB

RPAが進化したIPAとは?IPAが可能にする業務例を紹介

  • 2020年10月16日
  • 2022年10月11日
  • RPA

RPAの先を行く自動化の形態としてIPAに注目が集まっていますが、IPAは企業や自治体にどのようなメリットをもたらすのかを知りたい担当者は多いことでしょう。そして、IPAのような高度な自動化が自社に必要な技術なのかどうか、判断しかねている担当者もいるかもしれません。

そこで今回はRPAのIPA化が必要な理由や、IPAによって可能になる業務例がどのようなものなのかを紹介していきます。「自社のRPA自動化レベルを上げるほど労働環境は改善されるのか」にフォーカスして記事を読み進めると良いでしょう。

RPAとIPAの違い

IPA(Intelligent Process Automation)はRPAの進化版としてよく語られます。RPAとの違いは「高度な自動化が図れるか否か」にあり、RPAにAIを連携することによって人間の代わりに判断を下す自動化のプロセスが完成するのです。

従来のRPA運用では人間がRPAロボットに予め指示を行い、RPAロボットが指示内容を記憶・実行することで業務の自動化が図れていました。このRPA運用プロセスにおける「人間による指示」をある程度AIに任せようとする動きがIPAになります。IPAの稼働イメージは以下の表を参考にすると理解しやすいです。

<RPAの自動化クラス>

クラス主な業務範囲具体的な作業範囲や利用技術
クラス1 RPA
(Robotic Process Automation)
定型業務の自動化・情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2 EPA
(Enhanced Process Automation)
一部非定型業務の自動化・RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
・自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
・非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3 CA
(Cognitive Automation)
高度な自律化・プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定ディープラーニングや自然言語処理
クラス1 RPA
(Robotic Process Automation)
定型業務の自動化・情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業
クラス2 EPA
(Enhanced Process Automation)
一部非定型業務の自動化・RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化
・自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載
・非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能
クラス3 CA
(Cognitive Automation)
高度な自律化・プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定ディープラーニングや自然言語処理

引用元:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02tsushin02_04000043.html

IPAとはRPA自動化クラスの「クラス3」に該当します。クラス3では、AIとの連携によって高度な自律化が可能になった結果、「プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化する」ようになります。注目したいのは、AIと連携した段階では未だRPA自動化クラスの2段階目に留まっていることです。

つまり、RPAをAIと連携させただけではIPAとはいえず、特化型AIによる補助を受けて自動処理範囲が拡大したRPA運用の領域に留まるのです。このように、RPAとIPAの間には、RPA自動化クラスの2段階目:EPAがあることを覚えておきましょう。

RPAのIPA化が必要な理由

RPAのIPA化が必要な理由は、RPAによって自動化できる業務範囲が限られるからです。大企業を筆頭にRPAの導入が進んでいますが、実際に自動化できる業務は企業全体の業務プロセスのうち1割にも満たないといわれます。

RPAはたしかにExcelマクロに比べて「自動化の設定」が容易で、単純作業の自動化には最適なツールです。しかし、一度業務ルールの変更があると途端に処理を停止してしまうケースも多く、復旧作業に余計な時間が取られてしまう場合もあります。企業はこの「自動化できる業務範囲が限られる」というデメリットを取り払うべく、AIによるRPAの機能拡張を図り、自動化できる業務範囲を広げる必要があるのです。

先ほどの見出しで確認したように、AIを連携しただけではIPAは実現できず、「一部非定型業務の自動化」に留まります。さらなる業務プロセス自動化を図るためにはIPA化に向けたAIの活用・工夫が求められるのです。

IPAで可能になる業務

RPAとIPAの違いやIPA化が必要な理由について説明していきましたが、具体的にどのような業務がIPA化によって自動化できるのか気になる担当者も多いことでしょう。そこでIPA化によって自動化が可能になる業務例について、以下の見出しで紹介していきます。

・問い合わせへの自動応答サービス
・翻訳システムによる窓口業務の効率化
・AI-OCRを利用したシステムへの自動入力

IPAではAIを活用することによって、AIがRPAロボットに作業指示を送るようになります。例えば、Aという問い合わせに対してZという答えを返すようにプログラムされていた場合、RPA単体ではA以外の質問が来た場合にZの答えを返すことができません。しかし、AIを活用することでBの質問がきてもZの答えを最適解として返答することが可能になるのです。つまり、RPA単体では動作エラー(動作停止)を起こしてしまっていたケースも、IPA化によって柔軟に自動応答できるようになります。

また、RPAとAIを連携した業務プロセスの自動化は企業のみならず、自治体でも導入・運用が進んでいます。特に紙資料を多く扱う自治体や不動産業界では「AI-OCRを利用した基幹システムへの自動入力業務」の需要が高く、導入後すぐに業務プロセス全てを自動化できた事例も存在します。

チャットボットを利用した問い合わせへの自動応答サービス

チャットボットによる問い合わせへの自動応答はRPAのIPA化に該当します。これまで企業や自治体は「よくある質問(FAQ)」などを予めホームページ上に設けることで、社員や職員が対応していない時間帯のサービス提供を試みてきました。しかし、提供サービスの複雑化が進むにつれてFAQでは対応できない問い合わせが増えてきている現状があります。チャットボットによる自動応答サービスは、そうした複雑化する利用者の問い合わせに対して、過去の質問・応答データから最適解を提示するように設計することが可能です。

翻訳システムによる窓口業務の効率化

某自治体では自動翻訳システムを窓口のタブレットに導入することで、日本語が得意でない外国人滞在者が行政情報を手軽に入手できる体制を整えています。翻訳システムを使った外国人対応サービスは自治体の窓口業務で導入・活用が進んでいますが、対外国人のサービスを提供する企業でも利用価値があるといえます。

例えば、観光客が多く来店する店舗では往々にして「日本語や英語が理解できない外国人」が来店します。昼間やお昼過ぎの繁忙時は1組の対応だけに時間をかけることが難しく、スタッフ対応が不十分になってしまうケースが想定されます。そこで店舗に利用者の言語に対応した自動翻訳システムが搭載されたタブレットを導入することで、スタッフ対応業務を効率化することが可能です。

AI-OCRを利用したシステムへの自動入力

RPA単体でもシステムをまたいだ自動入力業務は実行できますが、紙資料をデータ化し、データ化したデジタルファイルをシステムに取り込みやすい形に修正・変換する技術は持ち合わせていません。そこでAI-OCRを利用することで、高精度な紙資料のデジタル化が実現でき、同時にRPAロボットがシステムに入力しやすい形で変換(テキスト化)することが可能になります。

ポイントは紙資料を読み取るOCRにAIを搭載して認識の精度を向上させることです。手書き文字なども正確にデジタル化することで、人間がデータ確認する手間も削減することができます。

すべてのRPAをIPA化するのはNG

RPAのIPA化は自動化できる業務範囲を拡大できるメリットがありますが、AIとの連携により導入・運用コストが増加します。IPAの状況を作り出すことはRPA運用の1つの目標となりますが、コストや社員・職員の負担軽減の観点から必ずしも全てのRPA運用で目指すべきではありません。

RPAを導入する目的は企業・自治体によって異なりますが、「業務効率化」や「社員・職員の負担軽減」というテーマはRPA運用に共通するものです。RPAをIPA化したことによって、業務ストレスや業務工数が増えてしまわないように、予め運用目的や適用範囲を決めておくことが重要でしょう。

コボットはディップ株式会社が提供するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)サービスです。自動化できる単純作業は、社員(人)に代わってロボット(コボット)に任せることで、貴重な人材がそれまで割いていた工数を、より高度な仕事に集中する為の時間とすることが可能になりました。
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