自動化対象業務の選定などを終えて、「これから本格的にRPAを推進していこう!」と意気込んでいる担当者も多いことでしょう。しかし、RPAが成功するかどうかは運用の仕方次第であり、予め想定されるリスクを把握して予防することが重要となってきます。
もちろんRPAに適した業務選定を行うことも大切ですが、万全な準備で臨んでも、ある日突然ロボットが停止してしまったり、現場の理解が得られずに取り組みが中断したりすることがあります。RPA推進担当者には、RPA導入初期の旗振り役としてどのような活躍・行動が求められるのでしょうか。
RPA運用の課題
RPA運用の主な課題は以下の3つに集約されます。
・ 現場の理解が得られない
・ 人とロボットの管理体制が構築できていない
・ ロボットの属人化
RPAの導入準備が整っても、初動の勢いがなかなか出ないことがあります。原因としては、現場の担当者の理解が得られなかったり、ロボットの管理を1人の担当者に任せっきりで共有が疎かになったりといったことが挙げられます。注意して臨んだはずの導入準備も、現場が動かないのでは時間をかけた意味がありません。
また、仮に初動が上手くいっても、ロボットが属人化することによって業務停止を引き起こす可能性があります。ロボットの停止による業務停止は、RPA担当者の異動・退職後に起こりやすいトラブルであるため、日頃からチーム(あるいは部署)で管理する体制を整えておくことが重要です。
現場の理解が得られない
RPA運用の初期、あるいは各部署へと横展開している中期に起こりがちなトラブルが「現場の担当者の理解が得られないこと」です。RPA推進担当者の中で既にクリアとなっている「そもそもなぜRPAで業務を自動化する必要があるのか」といった問いや、「業務の自動化によって得られる効果」といった導入後の未来は、現場の担当者にとっては縁遠いものでしょう。したがって、まずは現場の担当者の理解が得られるような説明会を行ったり、ワークショップを実施したりといった工夫が重要となります。
人とロボットの管理体制が構築できていない
RPAはPCやサーバー上で活躍するソフトウェアです。自動化ツールとして認知されているため、ロボットの管理体制を構築せずに取り組みをスタートさせたくなってしまいますが、放置の状態が続くことで「ロボットの停止」に気付かなくなってしまう恐れがあります。
1つのロボットが停止すると、付随するロボットもたちまち動作エラーを起こしてしまいます。ある業務フローにおけるロボットの担当が多ければ多いほど復旧作業に時間がかかってしまうため、復旧する間に業務を遂行する人と、ロボットの異常を発見・修理する人を予め決めておくことが重要となるのです。
ロボットの属人化
数ヶ月も運用をしていると、次第に「どこでどんなロボットが稼働しているか」が分からなくなってきます。通常稼働している場合はそれでも問題はありませんが、一度エラーが発生すると、次々と異常(停止、止めたはずの動作を繰り返している、など)を起こしているロボットが見つかることがあります。RPAで自動化している業務が機密情報や個人情報を扱っている場合などは、ロボットの属人化が命取りになることもあるのです。
そのような事態を招かないように、稼働しているRPAはチームや部署で「いつでも」確認ができるような体制を作っておくことがポイントです。事務所のホワイトボードに「稼働しているロボット」と「管理担当者」あるいは「責任者」を記入することで、簡易的にロボットの属人化を防ぐことができます。
RPA運用の改善ポイント
RPA運用は先述したような課題を想定した上で進めていく必要があります。これから本格的にRPA運用に乗り出す企業はもちろんのこと、既に取り組みをスタートしているRPA推進担当者も以下の2つの改善ポイントを検討し、RPAの取り組みを本来の軌道に戻せるよう工夫をこらしていきましょう。
・ 共感されるコンセプトを作成する
・ 可能性を感じるフューチャープランを作成する
RPAは自動で業務を遂行してくれる便利なツールとなりますが、取り組みの実施・加速ができるかどうかは現場の担当者にかかっています。いかに現場で働く担当者を盛り上げ、サポートしていけるかがRPA成功の鍵を握るといえるでしょう。
また、RPA改善のタイミングを知りたい方はこちらのページを参考にしてください。
共感されるコンセプトを作成する
RPA導入の話は経営層から下りてくるケースが多く、現場の担当者の中には初めて「RPA」を耳にする人もいることでしょう。そのような状況下で、「業務効率化を実現します」や「働き方改革を推進するためにRPAを導入します」といったメッセージだけでは現場の担当者の理解は得られません。むしろ、「ロボットに自動化されてしまうほど簡単な業務じゃない」といった批判が返ってくることもあるでしょう。
そこで現場の担当者に共感されるコンセプトを作る必要性が出てくるのです。ポイントは現場で働く担当者が「何をモチベーションに日頃の業務を行っているか」を把握することにあります。ワークショップやアンケートでヒアリングを行い、「自動化したい業務があるか」や、「××業務が無くなったら何をしたいか」といった意見を聞くことで打ち出すべきコンセプトが見えてきます。
可能性を感じるフューチャープランを作成する
現場の担当者には「RPAがどのような未来を切り拓いていくのか」といったビジョンが見えにくいことでしょう。そうした背景から「RPAを導入しても大した成果が得られないのでは?」といった回答があったり、「結局仕事が増えるのではないか」といった懸念が生まれたりするものです。
RPA推進担当者はこうした担当者の疑念を取り払うべく、自身でRPAツールのテスト運用を行ったり、導入時・運用時の工数予想を出したりといった工夫が必要となってきます。これらの取り組みはRPAのフューチャープランを作成するための素材としてまとめ、1年後、2年後の「RPA導入後の姿」を定量的に示すために活用しましょう。
RPAロボットを適切に管理する方法
RPAの取り組みを現場の担当者に「自分事」として捉えてもらうためには、コンセプトやフューチャープランの作成がポイントとなってきますが、肝心のRPAを適切に管理できないのでは積み重ねた努力も水の泡となってしまいます。
RPAを適切に管理する方法として以下の2つを実践することがトラブルを回避する鍵となります。
・ カンバン方式による稼働状況チェック
・ KPT方式の振り返り
いずれの方法も人がロボットを定期的に管理・動作チェックする機会となるため、特にトラブルが発生しやすい導入初期は必ず実行しましょう。なお、それぞれの管理方法の詳細はこちらのページで説明しているため参考にしてみてください。
まとめ
RPA運用にはいくつもの課題が存在します。しかし、1つずつ対策を講じていけば、ロボットの停止といった不測の事態が起こった場合も冷静に対処することが可能です。重要なことは「現場の担当者の理解を得ること」と「RPAの適切な管理方法を知ること」の2つとなります。本日から計画・実践できる内容も多いため、自社のRPA運用の改善に活かしてみてはいかがでしょうか。
コボットはディップ株式会社が提供するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)サービスです。自動化できる単純作業は、社員(人)に代わってロボット(コボット)に任せることで、貴重な人材がそれまで割いていた工数を、より高度な仕事に集中する為の時間とすることが可能になりました。
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