派遣の「抵触日」とは?わかりやすく解説!延長手続き・方法│コボットLAB

派遣の「抵触日」とは?わかりやすく解説!延長手続き・方法

抵触日

人材派遣業を営んでいる方にとって、注意すべき決まり事の一つに抵触日の概念があります。派遣社員が抵触日を無視して就業することは違法化されており、雇用先企業のコンプライアンス違反につながる恐れもあります。

今回は、そんな抵触日のルールについて基礎から解説し、抵触日にまつわるトラブルを回避するためのポイントを紹介します。

派遣の「抵触日」とは

派遣における抵触日とは、派遣期間が切れた翌日を指すことばです。抵触日を超えて派遣社員を同じ事業所で働かせることは、法律違反にあたります。

そもそも、派遣社員は一時的な労働力の確保や、研修の意味合いが大きい働き方であったため、派遣社員という立場で長年正社員同様に働かせ、待遇は正規社員とギャップがあるという状況はかねてより問題視されてきました。

そんな派遣社員のキャリアアップや労働環境の改善を促すべく、2015年9月に実施されたのが労働者派遣法の改正です。同法の改正により、派遣期間制限である3年を超えて同じ派遣社員を働かせることは違法となり、場合によっては罰則が課せられることとなっています。

抵触日と労働者派遣法改正

労働者派遣法の改正は、抵触日を設けることで派遣労働者を保護することを定めただけではありません。

派遣労働者に対して、派遣先企業や人材派遣企業は、抵触日をあらかじめ通知することが義務付けられています。これは、派遣労働者が抵触日の存在や日にちを認識できるとともに、派遣先企業も抵触日を正しく認識し、抵触日を超えて働くことを防ぐためです。抵触日の概念が形骸化することを回避する上で、有効な仕組みです。

人材派遣会社と派遣先企業が派遣契約を結ぶ前、派遣先企業は書面あるいはメールで事業所単位での抵触日を人材派遣会社に伝える必要があります。また、人材派遣会社は派遣社員と派遣契約を結ぶ際に、派遣社員に対して抵触日を知らせなければなりません。

人材を派遣する企業、人材派遣を受ける企業、そして派遣される労働者の三者とも、抵触日について正しい認識を持っていることが求められています。

改正された労働者派遣法では、抵触日による派遣期間の制限は業務内容ではなく、事業所単位か個人単位かという2つの概念のどちらに分類されるかによって決まるとしています。

事業所単位の場合

事業所単位に分類される場合は、同一の派遣先企業で働ける期間を3年としており、3年を超えた翌日が抵触日にあたります。事業所単位での受け入れの場合、抵触日を迎えても派遣会社から派遣社員を受け入れたい場合、延長の手続きが可能です。

延長手続きの方法や条件については、後ほど紹介します。

個人単位の場合

個人単位での派遣期間制限を検討する場合、派遣社員が同一の組織で働ける期間を3年としています。派遣期間制限日の翌日が抵触日とされ、それを超えた労働は違法と見なされます。

同一の組織というのは、派遣先企業における同じ部門、グループでの就業を指します。そのため、抵触日を過ぎても以前の人事部から総務部へと部門を異動するのであれば、引き続き同じ会社で働くことが可能です。

一方で、事業所単位のように派遣先企業が派遣企業から派遣社員の継続的な受け入れを申請することはできないため、その点は注意が必要です。

また、事業所単位と個人単位の抵触日は両立する考え方ではあるものの、基本的に事業所の派遣期間制限が優先されます。個人単位で見れば派遣期間が残っている場合でも、事業所単位で派遣期間が残っていない場合、期間の終了とともに働くことはできなくなります。

この場合、派遣期間の延長手続きによって引き続き派遣社員は就労することができます。


抵触日を過ぎた場合の対応・手続き

抵触日の存在が法律上定められていても、現実には抵触日を過ぎても派遣社員を就業させたり、延長手続きを行わなかったりする企業が存在します。抵触日を過ぎた場合、どのような措置が発生するかについて紹介します。

抵触日超過が明らかになった場合

改正労働者派遣法によって、派遣社員は同一の職場で働くことが3年までと決められています。3年を超えて就業している派遣社員が判明した場合、派遣先企業、及び派遣社員を紹介した人材派遣会社には、「労働契約申込みみなし制度」が適用されます。

参考:労働契約申込みみなし制度について(厚生労働省)

労働契約申込みみなし制度は、抵触日の超過など、派遣先が違法な派遣を受け入れた際に適用される制度です。派遣社員と派遣先会社が労働契約を結んだものとみなし、派遣会社と派遣社員の契約は解消され、派遣先会社は派遣社員に対して正社員と同等の雇用責任が発生します。

もちろん、派遣されている労働者の意思によってこの制度が適用されるかどうかは決まるため、派遣社員の意に反してこの制度を適用することはできない点にも注意が必要です。ただし、少なくとも派遣社員がいつまで経っても派遣先で同一賃金や雇用保険が保障されず、何年も経過してしまう事態を回避するのには役立ちます。

派遣スタッフはどうなる?

抵触日が超過してしまう前に、何らかのアクションを起こすことが一般的です。抵触日が近づくと、派遣スタッフは複数の選択肢から今後の働き方を選択することができます。

異なる課・部門で働く

1つ目は、同じ派遣先企業の、違う課や部門で働くという選択肢です。派遣先企業で、派遣社員として3年目以降も働き続けたい場合には、異なる就業環境に身を置く必要があります。

別の派遣先企業で働く

2つ目は、別の派遣先企業で働くという選択肢です。今の業務に愛着があり、仕事内容を変えたくない場合には、同じ業務を必要としている別の企業で働くことができます。

派遣先企業に直接雇用してもらう

3つ目は、派遣先企業に直接雇用してもらうという選択肢です。派遣社員の場合、契約相手はあくまでも人材派遣会社で、雇用条件などは派遣先企業と大きく異なります。直接雇用に移行することで、収入や休暇、保険などの待遇面での改善が期待できます。

直接雇用に移行できるかは派遣先企業の都合次第ですが、長く安定してその職場で働きたいスタッフにとってはありがたい選択肢です。

派遣先の会社が延長したいときはどうする?

派遣先企業の選択肢としては、派遣社員の受け入れを延長するという手段があります。派遣制限期間を延長する場合には、その企業の労組、あるいはそれに変わる団体に対して抵触日の1ヶ月前に意見聴取を行うことで延長が可能です。

書面によって意見聴取の旨を労組に通知し、どの部署でどれくらいの期間を延長するのかを通達します。期間は抵触日から3年以内と決まっており、それ以上の延長を行うことはできません。

意見聴取や延長そのものに反対された場合、延長の手続きを進めることができないため、納得のいく理由などを用意し、その旨を伝えることが大切です。


抵触日管理が行き渡らない理由

抵触日の管理

上記のように、抵触日に関するルールを正しく守り、それを実行することは大切です。しかし、抵触日の規定は比較的新しい決まりということもあり、正しく守られないケースもしばしばあります。

ここでは、抵触日管理が今ひとつ各企業に行き渡っていない主な2つの理由について解説します。

派遣スタッフとクライアントの増大

1つは、派遣スタッフとクライアントの増加です。

近年、多くの企業が人材不足に悩んでおり、派遣社員によってリソースの拡充が進んでいます。また、派遣スタッフの数も増えており、人材と企業が良好な関係を結べるよう促す必要も出てきました。

派遣登録スタッフの数やクライアントの数が増えれば増えるほど、スタッフの抵触日管理は杜撰(ずさん)になりやすい傾向にあります。案件の数が増えても正しく日数を管理できるよう、体制の見直しが必要です。

人材データ作成負担の増加

扱う派遣スタッフの数が増えると抵触日管理が行き届かなくなるのは、人材データを作成・管理する負担が増加するためです。

手動で派遣スタッフの動向をすべて把握することは難しく、抵触日の通知についても手動で行うとなると通知漏れが発生してしまうリスクがあるため、何らかの改善施策が必要です。


抵触日管理ができるシステムを導入するメリット

上記のような課題解消において活躍しているのが、抵触日管理にも活躍する人材派遣管理システムです。ここでは、システム導入によって得られるメリットを紹介します。

業務効率化に役立つ

抵触日管理システムを導入すれば、業務効率化を推進できます。管理業務を一部自動化でき、担当者の負担軽減に役立ちます。

ヒューマンエラーを回避できる

抵触日を自動で通知できるシステムを導入することで、ヒューマンエラーの回避にもつながります。うっかり抵触日を見逃してしまい超過してしまうというリスクを抑えられるため、扱う案件の数や抱える派遣スタッフの人数が増えても安心です。

自動で法改正に対応できる

派遣業関連の法改正は、抵触日に関する改正に限らず、今後も不定期で行われる可能性があります。最新の人材管理システムでは、自動的に関連法案への対応が行われるので、社内の管理システムが法改正に準拠しておらず、意図せずして抵触する事態を回避できます。


代表的な抵触日管理システム

最後に、代表的な抵触日管理に活躍する主な管理システムを紹介しましょう。

HR CROSS

HR CROSSは、株式会社クロスリンクが提供する人材派遣業に特化したクラウド管理システムです。事業所抵触日通知書をはじめ、各種契約書や個別契約書、管理台帳の作成および自動通知が行えます。

派遣中スタッフの評価も丁寧に管理でき、質の高いスタッフの育成とマネジメントを実現可能です。

料金プラン:

  • ・月額500円/スタッフ〜

公式サイト:

CROSS STAFF

株式会社 アイルが提供する人材派遣会社向けスタッフ管理システムのCROSS STAFFは、人材募集からシフト管理、通知業務に至るまで、すべてをWebおよびアプリから管理できるサービスです。

基本情報管理や就業記録の管理、各種派遣帳票の作成発行や台帳管理を一括して行えるだけでなく、スタッフ一人ひとりにマイページを提供し、個別のメッセージ配信などを実現できます。抵触日管理も自動化し、対応漏れを防ぎます。

料金プラン:

  • ・月額3万円〜

公式サイト:

HR STATION

人材派遣管理システムのHR STATIONは、人材派遣業務の効率化および派遣先企業や派遣会社のコンプライアンス強化に貢献できる、株式会社KDD Iエボルバが提供するサービスです。派遣システムを統合し、運用フローを統一することで、クライアントごとの派遣状況の管理やスタッフの勤怠管理をまとめて行えるよう促します。

派遣法に抵触しないよう、抵触日の管理や派遣先管理台帳の作成もサポートできる頼れる機能を複数実装しています。

料金プラン:

  • ・要問い合わせ

公式サイト:


まとめ

労働者派遣法の改正に伴い、抵触日の遵守とそのための通知義務は非常に明確に設定されています。抵触日を超えて派遣社員を働かせることで、労働契約の更新が自動で行われてしまうなどの罰則規定も存在するため、抵触日は可能な限り守る必要があります。

人材派遣業の需要増加に伴い、このような抵触日管理も難しくなっていますが、人材派遣業に特化した管理システムを導入することで、トラブルをあらかじめ回避できます。抵触日に対する意識を高め、ルールを守って人材派遣管理を実現できる体制を整備しましょう。

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