【2022】DXの市場規模は?日本国内・世界の市場規模とDX事例│コボットLAB

【2022】DXの市場規模は?日本国内・世界の市場規模とDX事例

DX市場

現在、世界中の企業が大いに注目しているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の行方についてです。DXは世界の企業が最も注目している課題の一つで、日本の企業も例外ではありません。

日本はDX化が遅れている国でもあり、国をあげてのDX推進が行われています。今回は、そんなDXの市場規模はどれくらい大きくなったのか、今後のDXの展望や実際の導入事例について紹介します。

DXの市場規模

まずは、日本と世界のDXの市場規模について確認していきましょう。

日本国内のDXの市場規模

日本国内のDX市場は、ここ数年は拡大傾向が続いています。元々デジタル化が遅れていたこともあり、DX成長のポテンシャルは高く、今後10年は市場規模の拡大が予想されています。

株式会社富士キメラ総研の発表によると、2019年度の日本におけるDXの市場規模は7,912億円に達しており、2030年度には2019年度比3.8倍の、3兆425億円に拡大すると予想されています。

また、一般社団法人日本能率協会の調査によると、日本企業の57.3%がDXの推進に前向きな姿勢を表明しているとされており、こちらの数字も今後増加していくと考えられます。

世界のDXの市場規模

世界規模でDX市場を見ると、日本のそれに比べてはるかに大きな市場を形成しています。IDCの調査によると、2020年度における世界のDX市場規模は1兆3,000億ドルに達するとされており、前年比で10.4%の成長を遂げています。

2019年の前年比成長率17.9%に比べると見劣りはするものの、新型コロナショックで設備投資やデジタル投資が冷え込む中、これだけの成長を遂げているのは驚異的と言えるでしょう。

今後も成長が期待されるDX市場

IDCに発表によると、世界の企業はさらなるDX投資を惜しまない姿勢を堅持し、今後も成長を遂げると予想されています。特に、アメリカと中国におけるDXの成長力は凄まじいものがあり、この2ヶ国だけで2019年の世界DX支出の5割超を占めるという結果が出ています。

アメリカでは、ディスクリート製造や運輸、専門サービスといった分野における支出額が特に大きく、中国ではディスクリート製造に加え、プロセス製造や公共サービスへの支出が大きいという違いもあります。

DXによるハイテク化は、国や都市にどのような変化をもたらすのかという検証を実践してくれるという意味でも、両国の取り組みは有意義といえるでしょう。


DX市場が拡大を続ける理由

このように、DX市場が日本や世界各国で拡大しているのには、どのような理由があるのでしょうか?DXが求められる理由として、主に次のような理由が挙げられます。

業務の効率化が実現するから

一つ目の理由は、業務の効率化です。最新のICT技術によってさまざまな業務を人の手に頼らず遂行できるようになることで、従来の手法よりもはるかに効率良く進められるようになります。

特に、作業労働のようなルーティンワークを自動化できる技術は重宝されており、正確なだけでなく、スピーディに遂行できるポテンシャルに注目が集まります。

人材不足の解消が進むから

ハイテクによる業務遂行が実現すれば、人材不足を解消することも可能になります。ロボットやデジタル技術は人間よりも効率的なパフォーマンスを発揮するので、従来ほど人の数を必要としなくなるためです。

先進国では少子高齢化が進み、途上国においても経済成長が進んでいるため、人手の母数が不足していたり、人件費の世界的な値上がりが企業の悩みの種となっていたりします。DXはこれらの問題を解決し、人間よりも安価で高い効率を実現する働き手を提供してくれます。

「2025年の崖」問題の解消につながるから

日本に限定された理由の一つですが、DXは「2025年の崖」を解消するキーポイントとなっています。

「2025年の崖」とは、経済産業省がDXに関するレポートの中で提唱した日本における課題の一つです。2025年までに既存のIT人材の引退やシステムのサポート終了が進むことで、最大で年間12兆円もの経済損失がわが国に生まれるというものです。

老朽化したシステムを使い続けることのコスト負担の増加や、古いシステムを扱える人材の減少などによって、維持コストが激増してしまう懸念がすでに始まっています。

DXによるデジタル技術のアップデートは、2025年の崖を乗り越える上でも重要です。既存の老朽化システムを最新のクラウドシステムなどに切り替えることで、維持管理のコストを削減し、従来よりも機能性に優れた環境で仕事の効率を高めることができます。

参照元:DXレポート~IT システム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(経済産業省)


DXで注目されている技術

DXを実現する上では、さまざまな技術が積極的に活用されています。ここでは、代表的な3つの最新技術の例を見てみましょう。

人工知能

人工知能(AI)は、今も発展を続けている技術でありながら、既存技術で十分日々の暮らしや業務をサポートできる品質にまで向上しています。データの自動入力や、顔認証技術、高度な言語翻訳に至るまで、さまざまなタスクをこなすことができます。

DXにおいても重要な役割を果たしており、AIチャットボットの搭載によってヘルプデスクやコールセンター業務を省人化したり、高度なものであればビッグデータから売り上げ予測の分析をしたりするなどして、企業の意思決定に深く関わるケースもあります。

IoT

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、物体同士をネットワーク環境に接続する事で、相乗効果を高めるための技術です。スマホからドアロックをコントロールしたり、室内の家電製品をコントロールしたりなど、IoTは無限の可能性を秘めています。

DXにおいては日本全国にセンサーを設置し交通量の測定を自動化したり、施設内の温度や湿度などを測定し直接空調とリンクさせて施設管理を自動化したりといった使い方が可能です。

ICTとは?ICTの活用事例と得らえるメリット

クラウドコンピューティング

クラウドコンピューティング、通称クラウドは、インターネットを介してさまざまなサービスを利用したり、システムを構築できたりする技術です。

インターネット経由でサーバーやサービスが提供されるので、自社でサーバーや運用環境を構築する必要がなく、導入後すぐにサービスを利用できる利便性が特徴です。

また、初期費用もクラウドでは大幅に抑えることができ、月額などの定額料金を支払うことで無制限に利用し続けられるため、コストパフォーマンスに優れます。


DXに力を入れている業種

DXの進め方は業種によって異なりますが、他に先んじて積極的なDXを推進してきた業界もあります。以下の業種の例を見ていきましょう。

交通・運輸

先ほど紹介した富士キメラ総研の成長予測を参考にすると、交通・運輸部門の成長力は非常に高いとされています。2019年には2,190億円だったDX投資は、2030年に9,055億円へ達する見込みとされており、これは2019年度比で4倍の金額です。

ネット接続やシェアリングサービス、そして自動運転などがこれを後押しするとされており、2030年以降も継続的な伸長を実現するでしょう。

流通

流通分野も成長力が非常に高いDX市場を形成しています。2019年には365億円程度の出資にとどまっているものの、2030年には2,375億円に達するとされ、6.5倍の市場規模が想定されています。

ECサービスの普及や交通網の整備で流通需要が増加するとともに、自動運転やクラウド技術の進歩により、一気に流通部門のDXは進むと考えられます。

金融

金融もDXを積極的に推進している業種の一つで、2019年時点で1,510億円、2030年には5,845億円に達する見込みです。すでにさまざまなデジタルサービスが登場し、システムの刷新が始まっているためです。

次世代金融基盤サービスの導入で、顧客サービスの向上と業務効率化を進めるとともに、デジタル審査・予測への投資も行い、精度の高い未来予測技術を確立することが課題になっています。

製造

製造分野は2019年に971億円、2030年に4,500億円という市場が形成される見込みです。要因として大きいのは、スマートファクトリーの提唱と実現でしょう。

スマートファクトリーとは、工場の運営や管理を人の手に頼らず、すべての工程を自動で行わせようという取り組みです。これまで部分的だったロボットやAIの導入を全面的に進めるための、積極的な技術投資が行われています。


日本企業におけるDXの課題

DX

このようなDXに向けた積極的な動きもある中で、日本企業はどのようにDXを進めていく必要があるのでしょうか?日本企業が抱えるDX実現のための課題について解説していきます。

業種間・企業間のデジタル格差解消

一つ目は、業種間および企業間のデジタル格差解消です。DXは国を挙げて推進している取り組みであるとはいえ、最終的に手を動かすか否かは企業の判断に委ねられているため、その足並みはいまだに揃っていません。

というのも、DXの必要性は理解していても、経営状況が苦しく最新技術の投資に回す経済的な余裕がないといった中小企業も多いケースがあるためです。

投資余力のある大企業だけがDXを進められ、余力のない中小企業はDXが遅れ、大企業だけが生き延びてしまうという淘汰が起きてしまう懸念もあり、DXをできる企業・できない企業の格差を埋めることが求められています。

ITリテラシーの向上

DXで具体的にどのようなことができるのか、いまひとつイメージが掴めないというITリテラシーの遅れも見られます。特に不動産業や建設業など、これまでデジタル技術を重用してこなかった業界ではITに関する情報共有が遅れています。

そのため、まずは「DXとは何か?」というところから話を進めていかなければなりません。DXの必要性について知り、どんなことができるかを理解してもらうことで、DXができる企業にはどんどん進めてもらえるような環境づくりが必要です。

企業文化の刷新

DXにおいて重要とされているのが、経営陣がコミットする抜本的な改革です。DXは単にICT技術を導入するだけではなく、全社的なデジタル活用を前提とした企業経営を実現しなければなりません。

中小企業であれば組織の規模が小さく比較的容易に実現しやすいですが、大企業となると一筋縄ではいかなくなります。少しずつDXの成功例を積み重ねていき、その有用性を証明し、全社的なDXへと移行する必要があります。


国内企業のDX事例

では、実際に日本で進められているDXの事例について、確認してみましょう。

伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事株式会社は、食品サプライチェーンDXの本格的な推進を始めています。食品メーカーに対する発注に関し、人工知能を用いた需要予測と発注最適化を行うことで、発注プロセスのオートメーションの実現が期待されています。

自動発注モデルが実現すれば、余剰在庫の削減効果が10~30%ほど生まれるだけでなく、発注業務そのものの負担が従来の半分程度にまで削減され、効率化が期待できます。

小売の業務データと卸の業務データをAIに組み込み、天候データやカレンダー情報などを入力することで機械学習モデルを構築しています。

株式会社ミスミグループ本社

機械部品の製造に取り組んできた株式会社ミスミグループ本社では、デジタル技術を駆使し、設計データから部品調達が可能なオンラインサービス「meviy」を立ち上げ、部品調達業務の効率化を実現しています。

meviyは顧客がアップロードする部品の設計データから、見積もりをわずか数秒で作成できるサービスです。半製品加工に必要なプログラミングをAIが担うことで、最短即日出荷という超短納期を実現し、部品調達の負担を大幅に削減しました。

部品調達時間は従来の92%も削減されるケースもあり、製造業界に大きなインパクトをもたらしています。

三井物産株式会社

三井物産株式会社では、病気のリスク予測や病院の経営効率化のビジネス展開に伴い、AIを使ったシステムの展開に取り組んでいます。

これまでの病院事業において蓄積してきたデータベースを匿名化し、統合データをAIに組み込みます。データベースを活用して検査や診断の精度とスピードを高め、潜在的な罹患リスクや重症化の可能性についても診断が可能です。

また、診療データから今後の診療費の予測も実施でき、患者に安心して治療を受けられるよう情報を提供できるようになります。


海外企業のDX事例

最後に、海外企業のDX事例についても目を通しておきましょう。

ウォルマート

アメリカ最大のスーパーマーケットを運営するウォルマートでは、抜本的なシステム導入で世界の小売業界の注目を集めました。現在話題となっているのが、巨大な物流施設である「マイクロ・フルフィルメントセンター」の拡大と運用です。

ここではロボットを駆使したあらゆる商品の取り扱い、および配送業務を兼任しており、自動配送システムによって迅速な商品提供を実施しています。

ピックアップからパッキングまでに要する時間はわずか5分という短時間で、リアルタイムの注文へスムーズに応え、来店したユーザーの車などに詰め込んでくれるサービスとなっています。

新型コロナの影響で客足が落ちていた中、店舗や商品との接点を少なくしつつ、買い物の利便性を向上したソリューションといえるでしょう。

ファーマーズ・インシュランス

アメリカの大手保険会社であるファーマーズ・インシュランスでは、カスタマーサービス向上のための損害請求報告プラットフォームを導入しています。

従来の電話を用いた損害請求手続きの場合、最初の損害通知を報告するまでの平均時間は約 12分となっていました。しかし、今回の最新プラットフォーム導入により、たった3分で手続きを完了できることとなっています。

PCやスマホからのアクセスが可能で、損害報告を作成して画像をアップロードすると、案件を担当する同社の保険査定員が割り当てられます。契約者はその後の修理店選び、レンタカーの手続きなど、同システム上で円滑に進められるという利便性も確保しています。

シェイクシャック

アメリカの大手ハンバーガーチェーンであるシェイクシャックは、現地アメリカでセルフオーダーシステムの導入を実施し、オンラインとオフラインでの注文効率化を実現しています。

顧客が列を作っている間に発生する無駄な時間や、待機時の混乱を防ぐことのできるオーダーシステムを導入することで、以前よりもシンプルなプロセスの導入に成功しています。

その結果、顧客満足度の向上はもちろんのこと、人件費の削減や顧客単価の15%も実現し、さらなる成長の足がかりとなりました。


まとめ

DXの市場規模が拡大しているのは、急を要する必要性もさることながら、徐々にさまざまな業界で実績が誕生していることで、その有用性についての認知度が高まっていることも理由に挙げられるでしょう。

DXの実現はあらゆる企業で必要とされているため、遅かれ早かれ何らかの形での導入が不可欠です。早いうちからDXに向けた取り組みを進め、早期の実現を目指しましょう。

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