不動産業界におけるDXとは?導入のメリットと成功事例

2021/04/30 コボットコラム

デジタルトランフォーメンション(DX)の必要性はさまざまな業界で議論が進んでいます。中でもDXの余地が大きいとされているのが不動産業界です。

数ある業界の中でも、不動産業界がDXにおいて注目される理由はどこにあるのでしょうか?今回は、DXが不動産業界に与えるメリットや、導入の課題などについて解説します。

不動産業界のDX化を阻む課題

まずは、不動産業界のDXを進める上で、どのような課題があるのかについて解説します。課題を乗り越えることで、どのようなDX化を実現できるのでしょうか?

根強いアナログ文化

不動産業界は、かねてより手作業の多いアナログ方式の業務を好んで採用する事業者の多い業界です。FAXを使った書類のやり取りや紙を使った顧客情報管理、対面のみの営業など、特に地域密着型の小さな不動産屋などでは、この方式を根強く採用しているケースが多く見られます。

こういった手法を部分的に活用する分には問題はありませんが、アナログ業務を全面的に採用している場合、将来的に業務が立ち行かなくなる可能性があります。パフォーマンスが個人のスキルに依存するだけでなく、スキルの習得に時間がかかるため、高齢化による離職や新卒人材の減少で働き手が今よりも減少する可能性もあります。

DXによってデジタル技術を導入すれば、業務の自動化や効率化によって、今よりも少ない人数で、かつ高いパフォーマンスを誰でも発揮できるようになります。

既存システム

新しいシステムの導入に際しては、すでに導入しているシステムからの脱却も求められます。DXが遅れている不動産業界でも、まったくシステム導入していないというケースは珍しく、Excelなどの表計算ソフトをある程度は活用しているものです。

ただ、DXによる効率化の恩恵を最大限受けるためには、データを連携できる仕組みを作り、文化的にも新しいシステム利用に馴染んでもらう必要があります。慣れ親しんだシステムから新しいツールへの移行は一時的なパフォーマンスを招く可能性もありますが、これを乗り越えることでさらなる効率化を推進できます。

ベストプラクティスの不在

DXは比較的新しい取り組みということもあり、未だに不動産業界における最適解が何かがわかっていないのも現状です。

DXの導入は負担もかかるため、必ず成功させたいというのはどの企業も同じことです。しかし、実例がまだ限られているために、DXへなかなか踏み切れない企業が多いというわけです。

とはいえ、事例を探してみると不動産業界でもDXに成功している事例は増えてきており、不動産向けのツールも次々に登場しています。成功事例や不動産特化のツールを参照してみることで、自社の課題の解消につながるヒントを見つけることはできるでしょう。

DXが不動産業界にもたらすメリット

では、DX化を不動産業界で進めていく上でどのようなメリットが得られるのかについて確認しておきましょう。

不動産業界におけるDXとは、最新のAI技術やITを使って、業務のデジタル化を推進していこうという取り組みです。営業活動をオンラインで行えるようにしたり、物件情報の管理を自動化させたりと、不動産においては非常に多くのデジタル化の余地を残しています。

DXは、こういった不動産業界に残された可能性をフルに引き出し、従来の業務では達成し得なかったパフォーマンスを実現してくれます。

業務効率化の実現

DX化最大の魅力は、既存の業務の自動化や効率化を進められる点です。物件に関する問い合わせをチャットで気軽に相談することができたり、帳票作成を自動化することで業務負担を削減したりと、多くのメリットを期待できます。

働き方改革の実現

業務効率化が進むことで、社員の働き方改革にも結びつけられます。業務の効率化、自動化によって業務負担が小さくなり、残業時間を短くできます。

また、オンラインで業務を進められるようになることで、対面での接客のために外へ出る機会が少なくなりますし、自宅からでも仕事ができるテレワーク環境の整備にも活躍するでしょう。

人材不足の解消

業務負担がDXによって小さくなることで、必要な人手の数も減らすことが可能です。現在よりも少ない人数で業務を遂行できるようになるため、人材不足に悩まされにくくなるでしょう。

また、誰でも働きやすい環境を整備することで、求職者からの注目を集めることも可能です。誰もが働きたいと考える職場づくりにも貢献し、優秀な人材を集めやすくなります。

新しいビジネスチャンスの創出

DXの推進によって、これまで見出されてこなかったビジネスチャンスの創出にも期待ができます。Webコンテンツの拡充により、Webからの問い合わせを増加させたり、オンラインでの接客を実現し遠隔地の見込み客への営業を行ったりと、できることはさまざまです。既存のビジネスモデルに停滞感を覚えている場合でも、DXは大いに役立ちます。

不動産業界でのDX化におすすめのサービス・ツール

ここで、不動産業界に特化したDX推進のためのサービスについてご紹介します。

Canary(カナリー)

Canary(カナリー)は、不動産仲介のDXを推進するスマホアプリとして注目を集めているサービスです。Canary(カナリー)の特徴は、管理会社と提携することで物件情報をデジタル化し、物件情報の掲載を自動化している点にあります。

従来であれば、物件情報の更新は社員が手動で行なっていたため、場合によっては古い情報を見込み客に伝えている可能性もありました。しかし、Canary(カナリー)を実装すれば、物件の更新・掲載作業はすべて自動化されるため、不動産エージェントは顧客対応などの営業活動に集中できるようになります。

また、不動産の紹介にあたっては店舗を必要とせず、オンラインでサービスの提供をほぼ完結できている点も特徴的です。物件の紹介および内見の予約はアプリから行い、現地集合・現地解散で物件を見学し、契約もオンラインで行えるというスマートな業務形態を実現します。客寄せのための「おとり物件」や重複物件の表示も排除しているため、利用者にとってもストレスの少ない、魅力的なサービスです。

ウレタ

ウレタは、不動産査定および売買の仲介に活躍するサービスです。マンションの売却希望者がサービスに登録することで、少しでも高く売却する場合の価格と、確実に手早く売却できる価格の両方を算出してくれます。

売却価格の査定の際、ウレタが活用するのがAIです。詳細なデータベースを基に、AIが適正価格を算出し、市場価値を客観的に把握することができます。オンライン上でたった7項目を入力するだけというお手軽な査定方法もさることながら、適正な売却価格を最短1時間で査定できるという圧倒的なスピードも魅力です。

査定時には個人情報を入力する必要もないため、後から営業の電話や連絡が来る心配もなく、気軽に利用ができるサービスです。自前の不動産の売却価格をあらかじめ把握してから不動産会社に相談できるようになるため、安心して不動産の取引ができるようになります。

そのまま売却を希望する場合、ウレタから時間をかけて高値で売却するか、すぐに売薬するかを選ぶことも可能です。すぐに物件を売りたい場合、最短2日で売却できるというスピード感も魅力のサービスとなっています。

Agently

Agentlyは、首都圏での住宅購入者に向けて、最適なエージェントの提供を推進するサービスです。ガイダンスに従って希望する物件の情報を入力していくだけで、エージェントから物件情報が届き、ニーズに合った提案を受けることができるという仕組みです。

さまざまな不動産仲介業者にコンタクトを取らなくとも、単一のプラットフォームに規模を入力し、オファーを待つだけでさまざまな物件情報を得られるため、物件探しの手間は大幅に軽減されます。

また、エージェントのプロフィールはユーザーから把握はできる一方、ユーザーのプロフィールは自らが許可しない限り開示されることはないため、後から営業の電話に悩まされるなどの心配もありません。普段の市場ではまだ出回っていない未公開物件の情報なども抱えているため、最新の物件情報を収集する場としても活躍します。

不動産業界におけるDX化の成功事例

最後に、不動産業界におけるDXに成功した事例を紹介しましょう。

三井不動産

三井不動産株式会社ではDXの推進が進められており、その実績も比較的豊富です。法人向け多拠点型シェアオフィス「ワークスタイリング」の提供によって、セキュリティと利便性の両方に優れたテレワーク環境を提供しています。

自社内において2019年より独立していた決裁システムと会計システムの統合を完了し、クラウド活用やペーパーレス化を進めてきました。結果、受発注・会計業務の35%を削減することに成功しています。

2021年2月、三井不動産株式会社はさらなるDX化を推進すべく、DX方針や推進体制、事例をまとめた「2020 DX白書」を公開しました。向こう5年間の経営方針として「DX VISION 2025」を掲げています。

新型コロナウイルス対策はもちろんのこと、社会課題である人口減少・少子化・高齢化の本格的な進行や、デジタル化による多様な顧客ニーズの発生に備えたビジョンで、同社が今後どのようにこれらの課題に取り組んでいくかについて、まとめられています。白書の中では、どのように事業を変革し、働き方を改革していくのかという目標はもちろんのこと、どんな技術を使ってこれらを推進していくかについても触れられています。

推進基盤についてはデータ活用やサイバーセキュリティの強化についての言及はもちろんのこと、ITリテラシーがあり、DX本部の推進力となる不動産特化のデジタル人材育成についても触れられています。

GA technologies

不動産ビジネスへのテック導入を進める株式会社GA technologiesは、DX推進で株価を4倍にも押し上げたとして注目されている日本の企業です。同社が注目される契機となったのが、ベンチャー企業のNeoX株式会社が開発した中国人向けの不動産購入サービスである「神居秒算」の取得です。

「神居秒算」は、スマホを使って物件を撮影することで、即座にデータベースと照合し撮影した物件情報をユーザーに送ってくれるというシステムを提供するものです。

株式会社GA technologiesにおいても、以前より不動産をワンストップで取引できるサービスを展開するなど、不動産テックの活用が著しい企業でした。コロナショックにより、株価は一時的に下落したものの、神居秒算の取得や経済産業省と東京証券取引所のDX銘柄に選定されたことが幸いし、株価は2020年9月時点で8,170円と、2020年最安値の4倍以上に上昇しました。

野村不動産

野村不動産株式会社は、2020年より不動産売買契約手続きの電子化を進めています。これまでの不動産売買契約の手続きというのは、取引額が通常の物品のそれとは大きく異なり、額面が非常に高値になりやすいことから、アナログによる慎重な取引が慣習的に残されてきました。

また、賃貸に比べても一生に体験する契約回数は少ないことから、デジタル化の必要性についても議論されるケースは多くありませんでしたが、デジタル化の余地があることには違いありません。

野村不動産株式会社ではこの点に注目し、契約関連書類の電子化を同年9月より開始し、契約の電子化、そして最終的には非対面でのオンライン契約の実現を目標にしています。オンライン契約の実現により、ペーパーレスや情報のデジタル化を実現することで、業務を効率化できるだけでなく、契約手続きの簡略化や遠隔地との取引も容易になり、顧客満足度向上にも貢献します。

まとめ

不動産DXの取り組みはまだまだ始まったばかりですが、すでに大企業を中心にさまざまな施策が投下されており、スタートアップ企業からは不動産特化のサービスなども数多く登場しています。

不動産のDXを阻む課題は依然として残りますが、これらをうまく解消することで、DXのメリットを最大限活用できます。自社の課題を洗い出すところから始め、多様なツールや成功事例を参考にしながら、DX実現に向けて動き出しましょう。

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