不動産業界でのRPAの活用方法は?普及の背景と導入事例

2021/04/23 コボットコラム
不動産RPA

他の業界に比べ、不動産業界はICTの活用が遅れていると言われています。しかし、昨今では徐々に不動産へのハイテク技術の活用ノウハウが蓄積されてきたことによって、適切な技術活用が行われるようにもなってきました。

中でもRPAの活用は、不動産業界へ大いに前向きな効果を与えてくれるとして注目が集まっており、今後も導入企業が増えると見込まれている技術です。

今回は、不動産業界でRPAがどのように活躍しているのか、普及の背景などについて紹介します。

不動産業界でRPA導入が進む理由

RPAとはRobotic Process Automationの略称で、主にデスクワークをロボットの力で効率化、あるいは自動化するためのシステムです。

これまでデスクワークは頭脳労働とされてきたため、人間でなければ対応できない業務と考えられてきました。しかし、RPAはそんなデスクワークを自動化できるプログラムを備えており、日々の作業労働の負担を大幅に軽減してくれる可能性を備えています。

今になって不動産業界でRPAが注目され始めたのには、どんな理由があるのでしょうか?

労働人口の減少

一つ目の理由は、国内における労働人口の減少です。日本は2019年現在、1億2,000万人を超える人口を有しているものの、出生率は年々減少傾向にあり、毎年数十万人のペースで人口減少が進んでいます。

出生率が減少しているということは、それだけ若い働き手が市場からどんどん消えていくということを意味します。新卒採用の枠は徐々に狭まっていき、雇い入れることは困難になっていきます。

全国賃貸住宅新聞が発表している調査結果によれば、大東建託株式会社や積水ハウス株式会社といった賃貸を扱う大手6社では、2019年の採用人数は前年に比べて減少しており、当時の需要の増加とは裏腹にリソースを確保できていない状況が明らかになっています。

大手企業ですら苦慮しているわけですから、地方や地域密着型の不動産業界では、さらに人材の確保に困窮していることも想像に難くありません。また、少子高齢化の影響により、新しい人材の確保が難しいだけでなく、熟練の人材も続々と引退が始まっていることも問題視されています。

長年の業務で培われた人材も定年退職で現場を離れ、卓越したスキルとノウハウが組織から失われてしまうだけでなく、それを継承する若手もいないことから、業務の継続がますます困難になっているのです。

参照元:全国賃貸住宅新聞「賃貸大手6社、新卒採用減少

既存人材への負担増加

このように、新しい人材の確保が難しくなっているだけでなく、スキルのある人材が一線を離れていくことで、現場に残された従業員の負担はより一層大きくなっていることも問題です。

不動産業界に人が集まらない理由として、建設業界などと同様に重労働と残業が重くのしかかるイメージが定着していることにあります。実際にこのような事態が発生するかどうかは組織やプロジェクトにもよりますが、人手不足の状態が慢性化すれば、遅かれ早かれ負担の大きい業務が常態化し、さらなる人材の流出を招いてしまうことも考えられます。

人手不足の解消を図るためには、不動産業界が魅力的な業界となることが必要です。既存人材の負担を軽減し、働きやすい職場づくりを進めていくことは、新たな人材を獲得する上でも欠かせない課題だと言えます。

負担の大きいアナログ業務

一口に不動産業界とは言っても中には働きやすく、長年働きたいと思える環境を構築できている企業も存在します。不動産業界の業務負担を大きくしている要因の一つがアナログ業務です。

大手企業ではあまり見かけることもなくなってきましたが、地域密着型の小さな不動産屋などでは、いまだに顧客管理や帳票作成を手動で行っているお店は少なくありません。パソコンやその他ICTを使わず、手作業が多く発生する業務体制が根付いている場合、必要以上に従業員へ負担をかけてしまうことになります。

簡単な表計算ソフトや管理システムを導入するだけで自動化できるのが、頑なに手作業にこだわってしまうことで、大きな機会損失と業務効率の悪化を招いている可能性があります。

不動産業界でのRPA導入のメリット

このような不動産業界の課題解決のため、近年多くの企業が導入を進めているのがRPAです。RPAを導入することで、どのようなメリットを得られるのかを確認しておきましょう。

業務効率化

RPAはデスクワークにおける作業労働を自動化してくれるため、業務によっては大幅な効率化を見込めます。例えば、日報の作成は簡単な数値入力だけで行えるようになり、メールのやり取りや顧客対応もチャットシステムなどを導入することで、短時間でこなすことが可能です。

RPAにはさまざまなツールが存在しているため、現場のニーズに合わせたシステムの導入が可能です。必要な機能を的確に拡充できることも嬉しいポイントです。

顧客満足度の向上

RPAは単に作業を自動化するだけでなく、高速かつ確実に実行してくれる強みがあります。

例えば、内覧の予約を口頭からRPAに切り替えることで、顧客は簡単なフォームに情報を入力するだけで、自動的に予約を完了できます。また、余計な作業労働に現場の人間は負担を強いられなくなるため、営業活動や顧客分析に力を入れられるようになります。

作業を自動化して浮いた時間を有効に使い、高い営業成績の実現に貢献することも可能です。

ヒューマンエラー発生率の低下

RPAはあらかじめプログラムされた通りの行動を漏れなく繰り返してくれるので、ミスが発生する可能性は限りなく低いと言えます。単調な作業は従業員の集中力を奪い、ヒューマンエラーを招いてしまうこともありますが、RPAであればこのようなアクシデントを回避することができます。

人的ミスの発生リスクを低下できることで、別の業務への支障をきたす可能性も低くなり、顧客満足度の向上にもつながります。

不動産業界におけるRPA活用例

では、不動産業界におけるRPA活用には、どんな方法があるのでしょうか?代表的な運用例について紹介していきます。

物件情報の更新

ホームページなどに掲載している物件情報の更新は、毎日必ず発生する定型業務ですが、RPAがあればこれを自動化できます。

データベースとサイトをRPAによって紐つけ、自動更新できるシステムを構築することで、無人で更新作業を行えるだけでなく、リアルタイムで漏れのない物件情報を公開でき、集客力の向上に役立ちます。

情報収集

RPAは社内に存在しないデータを集めてくるのにも活躍します。口コミサイトやSNSのレビュー情報を自動で収集したり、競合の賃貸相場や新しい物件の情報を収集したりと、さまざまな使い方が検討できます。

問い合わせ対応

チャットボットやメールの自動返信システムを導入すれば、問い合わせ対応の労力も減らせます。従来では手動でテキストを入力して回答したり、電話応対が必要だったりしていましたが、よくある質問はテンプレート化してしまうことで、自動対応を実現します。

入力作業

手書きの資料などデジタル化されていないデータは、手作業でデジタルデータに入力し直したり、紙で管理したりする必要がありました。

RPAを光学文字認識機能(OCR)と連携して、紙文書や手書き文字を自動で読み込みデジタルデータへ変換できるため、手動でデジタルデータに入力し直す作業は生まれません。

集計作業

数値の入力や計算など、データをまとめる作業を手動で行うとエラーも起こりやすいため、確認のために人手を要する機会も増えます。RPAであれば定型化されたフォーマットに素早く、正確に集計してくれるので、業務効率化と精度の向上を期待できます。

営業活動

バックオフィス業務だけでなく、営業活動にも効果が期待できるのがRPAです。不動産購入に興味のある見込み客を行動履歴からスコアリングし、確度の高い見込み客にアプローチすることで、効率的な営業活動を進められます。また、テレアポなどもRPAを使って管理を一元化することで、効率の良い営業活動につなげられます。

不動産におけるRPA導入事例

ここからは、実際に不動産業へRPAが導入された事例についても紹介しておきましょう。

アパマンショップ

不動産賃貸を仲介する企業であるApaman Network株式会社が運営する「アパマンショップ」では、物件情報の収集・登録作業の効率化をRPA導入によって実現しました。営業担当の代わりに担当エリアの物件情報を見つけ、自社の基幹サイトの情報と突合して登録を進めるシステムを導入し、効率化を進めるというものです。

RPA導入前は、1つの物件を登録するのに15~20分を必要としていましたが、作業を自動化できただけでなく、従来の3〜4倍のスピードでこなせる環境を実現しています。結果的に、同社では全体で1日あたり1万時間発生していた業務を、丸ごと自動化に成功しています。

日本財託グループ

日本財託グループではRPAを活用したオンライン申し込みや、審査状況の進捗確認、図面アップロードの短縮を導入しています。一月あたり1,500枚もの入居希望のFAXを捌き切るのは、負担の大きな作業です。そこで、入居エントリーをオンラインからできるようし、入居審査の手続きを素早く進められる環境を整えました。また、進捗管理をWeb上で一元管理できるようにしたことで、確認作業の手間の軽減に役立てています。

不動産にRPAを導入する上でのポイント

不動産業界にRPAを導入するケースはまだ決して多いとは言えず、ノウハウも十分に共有されていません。そこで、RPA導入につまずかないためのポイントを解説していきます。

ITに慣れない人材でも活用できるシステムを導入する

まず大切なのは、導入するRPAはITに慣れていない従業員でも使えるシンプルなものから始めることです。多機能なRPAは使いこなせれば大いに効率化に貢献してくれますが、操作に慣れていない人には使いづらく感じます。

特に、不動産業界はアナログ作業に慣れてれている人が多く、新しいICTの導入となると、業務効率がかえって低下してしま可能性もあります。こういった事態を避けるためにも、まずは負担が少なく使いやすいシステム導入を検討することをおすすめします。

スモールスタートの導入を心がける

RPAを初めて導入する場合には、あまり大規模な導入をいきなり展開しないことも大切です。いずれはRPAを隅々にまで拡充したいと考えている場合でも、初めての導入となれば使い慣れない部分が多く、必ずしもシステムをフル活用できるとは限りません。

そのため、RPAの活用中に何らかのトラブルが発生した場合、そのトラブルが解決するまで業務を続行できなくなる可能性もあります。そんな場合でも、以前の業務環境をある程度残しておけば、そちらで対応することが可能なので、業務が完全に停止してしまう事態を防げます。保険の意味も込めて、RPAは少しずつスモールスタートから開始することが大切だといえます。

働き方改革に直結するシステムを導入する

確かにRPAは利便性の高いシステムですが、働き方改革による業務環境の改善につながるシステムであることも重要です。不動産業界に人手が集まらないのは、多様な働き方ができず、居心地が悪い場所であるというイメージがあることも悪影響を与えています。競合に優秀な人材を取られないためにも、働き方改革に直結するシステムの導入は大切です。

例えば、クラウドタイプのRPAを導入することで、オフィスだけでなく家のPCからもシステムを利用可能にし、リモートワークを推進するなど、やれることは多々あります。課題に最適なシステムを検討し、積極的に導入しましょう。

まとめ

不動産業界はICTの活用が進んでいない分、いざRPAの導入を進めてみると、大きな業務改善が期待できる業界です。すでに不動産業界での成功事例も現れ始めており、高い確率で導入を成功させることが可能です。自社の課題を再検討し、優れたRPAの導入を進めていくと良いでしょう。

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