不動産テックとは?
注目の背景とカオスマップの会社・スタートアップ企業のサービス

2021/04/26 コボットコラム
不動産テック

デジタル化社会の到来にあたって、不動産業界は大きな課題を乗り越えなければならない時代に突入しています。アナログ業務が中心だった不動産業界にとって、デジタルトランスフォーメーション(DX)の余地は大きく残されていると同時に、導入効果も大きいと期待されています。

今回は不動産のDXに欠かせない不動産テックに注目が集まる背景や、話題となる技術について紹介します。

不動産テックとは

不動産テックとは、その名の通り不動産とテクノロジー(テック)を掛け合わせた新語で、不動産業界で活躍する、あるいは活躍が期待されるテクノロジー全般を指します。ハードウェアが高性能になり安価に手に入るようになったことで、組織単位でのICT活用の機会はますます広がっています。

また、WebサービスやAIの発達など、高性能なハードの力を活用できるソフトウェアも次々に登場しています。不動産においても例外ではなく、大手企業からベンチャーまでさまざまな企業から不動産向けのサービスがリリースされるようになりました。

不動産テックの市場規模

不動産テックの市場規模は、その知名度とともに拡大傾向にあることがわかります。

2018年に矢野経済研究所が発表した調査結果によると、2017年度時点での不動産テック市場規模は前年度比24.3%増の3,818億円に成長しており、以降右肩上がりでの成長を続けると推測されています。

2020年度には6,267億円に達するという見解も出ており、2017年から5年以内で倍以上に成長することは確実と見られています。

参照元:不動産テック市場に関する調査を実施(2018年)(矢野経済研究所)

不動産テックが注目される背景

不動産テックが注目されている理由は、テクノロジーの利便性向上以外にも理由があります。

深刻な人材不足

一つは不動産業界における人材不足の深刻化です。エン・ジャパンが2019年に発表した調査結果によると、アンケートに回答した企業の多くが、人材不足が発生していると回答しています。

中でも不動産業界における人材不足は深刻であると見られ、91%の企業が人材不足であると回答しています。この結果は2016年に行った調査よりも5ポイント上昇しているということで、人材不足が解消するどころか、むしろ悪化の一途を辿っていると言えます。

参考:2019年「企業の人材不足」実態調査―『人事のミカタ』アンケート―(エン・ジャパン)

不動産業界が人材不足に長く悩まされている理由としては、慢性的な長時間労働による業務負担の解消が進んでいないことが挙げられます。ここ数年は、東京オリンピックの影響により建設需要が大いに高まったことで、必然的に不動産業界の業務量も増加傾向にあります。

新型コロナウイルスの影響もあり、2020年は一時的に冷え込みが見られたものの、依然として業務負担は既存の人員に重くのしかかっており、慢性的な人手不足が続いています。

膨大なIT運用の余地

不動産業界が長年、人手不足に悩まされているのは、ITの活用が他業界に比べて進んでいないことも要因として考えられます。大手企業では比較的不動産テックの導入は進んでいるものの、地域密着型の不動産会社などでは、顧客管理や帳票の出入力を手動で行っているところが多く、アナログ作業の文化はいまだ根強く残っています。

各企業や店舗のデータがデジタル化されていないことにより、情報の共有やデータ活用の余地も小さく、テクノロジーを生かしづらい環境も悪循環を生む要因となっています。

2020年に株式会社ライナフより発表された調査によると、不動産業界における不動産テックを活用したDXの進捗は、いまだに50%以下に止まっていることがわかっています。不動産テック導入のための人材が確保できていないこともさることながら、そもそもどのように不動産テックを活用すれば良いのかという知識やノウハウも浸透していないため、導入は困難を極めているということです。

ただ、実際にDXの推進に成功した企業については確かな効果を実感できているようで、業界全体では90%の企業が効果を得られたと回答しています。不動産業界においても、テック人材の拡充とノウハウの共有が進めば、十分な効果を実感できるようになるでしょう。

参考:「不動産業界全体のDX化進捗は約50%以下、約90%の不動産企業がITツール導入後、DXに効果あり」(PR TIMES)

不動産テックにおける「カオスマップ」

不動産テックというキーワードへの注目度は高まっているものの、具体的にどのような技術が存在し、どう活用できるかということについては共有が進んでいません。

そこで活用したいのが、不動産テック協会が発表しているカオスマップです。カオスマップを参考にすることで、具体的にどんな技術が存在し、どう活用すれば良いのかのヒントを得られます。

不動産テックのカオスマップには、現在12のカテゴリーに分かれて技術が分類されています。約1年ごとに内容のアップデートも行われており、定期的に確認することで最先端のテック事情を把握できます。

参照元:不動産テック カオスマップ最新版(第6版)2020年6月15日(一般社団法人不動産テック協会)

カオスマップで紹介されているカテゴリー

ここで、各カテゴリーでどのような技術が紹介されているかについて、確認していきましょう。具体的な技術についての説明と、実際の運用事例についてご紹介します。

VR・AR

VRとARは、新しい映像体験を提供できるとして注目を集めている技術です。VRはVirtual Reality、通称「仮想現実」を扱う技術で、実際には存在しない仮想空間を体験できるというものです。

一方のARはAugumented Realityの略称で、日本語では「拡張現実」と呼ばれます。特殊なゴーグルやカメラ技術を使うことで、現実空間に実在しないオブジェクトを生成し、現実と仮想の融合を体験できます。

不動産業界では、VRを使ったバーチャル内覧や、インテリアをARで配置したり、建設予定地に完成予定のマンションをARで表示したりといった使い方が実施されています。

「不動産VR」(株式会社VR)が提供するVR内覧システムは、典型的なサービスの一種です。キャプチャ画像を使用し、物件の完成前に周辺環境の様子を確認したり、購入を検討する内覧者向けに生活イメージを提供したりできます。

IoT

IoTはInternet of Thingsの略称で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれる技術です。高度なセンサーと5G通信といった高速通信を活用することで、データをリアルタイムで収集し、活用します。

例えば、各家庭のドアロックをIoTに対応させることで、スマートフォンからドアロックを操作し、開錠・施錠が行えるようになります。あるいは、音声操作で室内の空調管理やライトの光量調節などを可能にするスマートスピーカーもIoTを生かした技術の一つです。

KDDI株式会社が提供しているホームIoTサービス「with HOME」では、手持ちのスマホを使って家の管理を容易にする機能を提供しています。ネットワークカメラを使った留守番システムや、音声で家電をコントロールできるシステムを提供し、家の管理をサポートしてくれます。

リフォーム・リノベーション

リフォーム・リノベーションの分野においては、請負業者のマッチングにテクノロジーが活躍しています。中古住宅や空き家の活用はこれから増えていくとされていますが、ニーズに最適な業者を選べる仕組みを整えることで、円滑な契約と施工を促してくれます。

リノベーションのデザインと施工、そして物件探しからサポートしてくれる「リノべる」(リノべる株式会社)は代表的な企業で、物件情報と施工業者のネットワークを広げ、コストパフォーマンスにも優れるワンストップサービスの実現に取り組んでいます。

スペースシェアリング

スペースシェアリングとは、長期の賃貸契約ではなく、数日〜数ヶ月間の契約を前提とした短期間での物件活用を促すサービス全般を指します。ホテル代わりに空き家を利用してもらったり、イベントスペースとしての貸し出しを容易にしたりするなど、都市部・地方を問わず広く利用されている新しい物件活用の体系です。

アメリカ発の「Airbnb(エアビーアンドビー)」(Airbnb, Inc.)はその代表例ともいえるサービスで、宿泊予約サイトを利用する感覚で空きスペースを借りられるプラットフォームとなっています。

ローン・保証

不動産を取得する際に必要なローンを組んだり、保証のサービスを提供したりするのも、テックによって効率化が進んでいます。不動産業者の住宅ローン業務を支援アプリに代行してもらうことで、不動産事業者は営業に人材を割けるというメリットを有しています。

融資可能な住宅ローンをオンラインで簡単に把握できる「モゲチェック」(モゲチェック・リノベーション株式会社)は、その利便性の高さから借入を促進し、不動産購入のハードルを低くするのに役立っているサービスです。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、オンラインプラットフォームを通じて個人・法人を問わず投資家を集め、資金調達を容易に実現するための技術です。一人当たり数万円の少額投資でも、数千人が集まればその額は決して無視できないものとなります。

スモールスタートで資金調達を実現し、サービスの立ち上げや物件購入を円滑に行うなどの目的に活用されています。

「CREAL(クリアル)」(クリアル株式会社)は不動産投資の資金調達をオンラインで行い、少額でも不動産投資に参入できるという画期的なサービスです。不動産投資の参入には莫大な資金を必要としますが、クラウドファンディングであればお小遣い程度の額から投資を始められるのが魅力です。

仲介(業務支援)

不動産の仲介業務においては、Webサービスなどを通じた売買や賃貸をサポートする技術が盛んです。

「Atlicu(アトリク)」(株式会社サービシンク)は不動産業界に特化したチャットサービスを提供しており、顧客とのスムーズなコミュニケーションをオンラインでも実現してくれます。リモート対応が可能で、業務効率化の実現に役立ちます。

管理(業務支援)

不動産の購入だけでなく、管理にも不動産テックは活躍します。顧客情報を一元化できるデータベースや不動産の点検情報の管理など、活躍の場は幅広い余地を残しています。

賃貸管理サービスの「SP-Cloud」(株式会社ビジュアルリサーチ)は、クラウドを活用して賃貸をオンラインで管理できるシステムを搭載しています。誰でも使えるプラットフォームで、賃貸管理の業務効率化に役立ちます。

価格可視化・査定

不動産価格を正確に査定する上で、不動産テックの活用は重要です。幅広いデータ活用の環境を実現し、現在の不動産価格と将来の査定額を正確に算出できるようになります。

1,000件を超える査定実績を持つ「ウレタ」(株式会社すむたす)は、マンションの価格を瞬時に査定できるサービスを提供しています。AI技術と不動産専門家を組み合わせた独自の仕組みを採用し、わずか7項目を入力するだけで適切な売却価格を弾き出してくれるサービスです。

不動産情報

最新の不動産情報を確認する上でも、最新テックは活躍します。建ぺい率など、直接物件情報に関連しないデータの収集、および分析も自動化することで、データ活用のさらなる機会を生み出すのに役立ちます。

「タスキビジョン」(株式会社タスキ)では建築計画地に関する用途地域などの土地情報の自動収集ができるサービスで、AIを活用し最適な建築プランの生成や、事業収支の算出が行えます。

物件情報・メディア

物件情報をニーズに合わせて集積し、わかりやすく紹介するメディアの存在も重要です。多くの人は賃貸情報をネット経由で参考にしているため、Webから内覧の予約まで行える無人の不動産サービスも登場しています。

「ietty(イエッティ)」(株式会社ietty)はチャットでの接客対応を前提としたサービスで、気になった物件を見つけた後は、チャットでそのまま詳細の把握、および内覧予約を行えるシステムを導入しています。

会員登録するだけで希望に合わせた物件情報が自動的に送信され、新居探しが簡単にできます。

マッチング

シェアスペースやリノベーション業者のマッチング以外にも、マッチングサービスの使い所は存在します。不動産の売却者と購入者を引き合わせるサービスや建設機械をオークション形式で取引するためのサービスなど、さまざまなニーズに合わせて多様なプラットフォームが活躍しています。

不動産取引の悩みを抱える相談者と、悩みを解決してくれる専門家を引き合わせてくれる、「イイタンコンシェルジュ」(ヒトワークス株式会社)もそんな新しい不動産マッチングサービスの一形態ということができます。

まとめ

不動産テック導入の需要は高まっているものの、それらを活用できる人材の不足や、運用に向けたノウハウの不足が課題にあります。

カオスマップを見ると不動産テックは決してニッチな分野ではなく、むしろ多様なカテゴリーで活躍する次世代のテクノロジーであることがわかります。

気軽に利用できるサービスも数多く登場しているため、まずは実際に手軽なものから試してみると、何かしらのヒントを得られるかもしれません。

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