BPOとは?アウトソーシングとの違い・メリットを事例を踏まえて解説

日本では人手不足などの課題から、自社の事業を継続していくうえでリソースが足りていないなどの課題を抱えている企業が増えています。そこで注目されているのが「BPO」です。

BPOを活用することで、人手不足という課題の解消から自社の成長までつなげられます。今回は、BPOとはどのようなものなのか、導入するメリットやポイントを解説します。

BPOとは

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略称で、自社の業務を一括で外部に委託することを指します。経営戦略の一つとして用いられることが増えてきており、「総務・経理・人事・マーケティング・人材育成」などあらゆる業務領域で取り入れられています。

BPOを導入することで、自社の業務負担を軽減することができ、自社の強みを持つ領域に人員を投入できるなど、メリットが多くあります。BPOを行うニーズは増加傾向にあるため、それぞれの専門領域やノウハウを持つ企業が増えてきています。

2020年に矢野経済研究所が発表した調査によると、2019年のITに関わるBPOの市場規模は2兆5,758億円、IT以外のBPO市場規模は1兆7,733億円としています。

人手不足への対応や自社のコア戦略の強化、世界的なDX化の波に対応するために、BPO市場は今後も拡大していくと考えられています。そのため、BPOを経営戦略として取り入れる企業も増えてくるでしょう。

効果的にBPOを活用することで、自社の業務効率化や生産性向上を達成でき、市場での競争力向上も期待できます。

アウトソーシングとの違い

アウトソーシングとBPOの違いは、「改革を行う対象」の違いです。

一般的なアウトソーシングは「業務委託」ともいわれているように、自社が業務を遂行するのに必要な人材やサービスを外部から導入することです。これらは業務の一部を専門性の高い企業に任せるなど、限定的なものになります。

しかし、BPOは自社で行う業務の業務プロセスをすべて委託することです。すべてとは、対象業務の設計からリソースの確保、実際の活動までを指します。こうした業務を丸ごと委託することは、対象業務の改善や経営上の課題解決までを見込んでいます。

そのため、一般的なアウトソーシングは業務の改革を促すのみですが、BPOは経営レベルの改革までを視野に入れています。「改革を行う対象」が異なるのが、一般的なアウトソーシングとの大きな違いといえるでしょう。


BPOの対応業務領域

BPOの対応できる業務領域は、主に下記のようなものが挙げられます。

  • ・総務部門
  • ・経理部門
  • ・人事部門
  • ・マーケティング部門
  • ・社員教育サービス部門

それぞれの対応領域について解説していきます。

総務部門

自社の総務に関わる業務全般を委託することが可能です。来社の受付業務から社内備品の管理、契約書の原本管理、施設管理などを行ってくれます。

また、総務がシステム部門などを兼任している場合は、IT資産管理や業務システム管理なども委託できます。

総務はバックオフィス業務の中枢であるため、自社の業務全体を円滑に進める大きな役割があります。そのため、BPOを活用して総務部門を効率化させることで、自社全体の業務効率化につなげる企業も多くあります。

経理部門

決算や記帳、会計処理、債権管理、税務に関する業務など細かくシビアな業務が多い経理部門についてもBPOが可能です。

特に、経理部門は高度な専門知識が必要となる場面も多く、法律に沿った書類作成なども求められます。加えて、決算書のミスなどが起こってしまうと、自社の信用を失ってしまう恐れもあるでしょう。

そのため、BPOを活用して、プロフェッショナルに委託する企業が増えてきています。

人事部門

人事は、採用計画から実際の採用活動、入社手続きから社員教育までを行います。また、社内向けに研修や労務管理を行うなど、業務が多岐に渡ることが多い部門です。

人事部門をBPOに委託することで、効果的な採用活動から従業員の給与計算までをすべて担ってくれます。中には、人事部門としてではなく、総務や経理などと兼任している企業もあるでしょう。そうした場合の人手不足解消にもBPOは利用できます。

マーケティング部門

マーケティングは自社が成長を続けていくためには、避けては通れないものです。しかしマーケティングを行うためには、市場分析はもちろん、予測や顧客管理などあらゆる知識が必要です。

そのため自社の人材で担うよりも、BPOを活用して専門家に委託する方が、より良いマーケティングにつながることも多いです。また、マーケティングを効率化させるために、マーケティングオートメーション(MA)の導入を同時に行う企業もあります。

社員教育サービス部門

社員教育は継続的に行うことで、従業員の成長につながっていきます。管理職への教育やより専門性の高いスキルを身につけさせるための教育など、各分野の専門家に委託を行うことで効果が発揮されます。

専門性の高いスキルを身につけるための教育は、人件費や時間が多くかかります。そのため、BPOを活用することで、コスト削減や教育の効率化につながります。


BPOを導入するメリット

BPOの導入

BPOを導入するメリットは、下記の4点が挙げられます。それぞれのメリットについて解説していきます。

  • ・コスト削減
  • ・リソースの担保
  • ・社外ノウハウの活用
  • ・業務効率化と顧客満足度向上

コスト削減

BPOは自社のコスト削減に貢献できます。なぜなら、従来であれば固定費であったものが変動費として処理ができるからです。

BPOに委託する前には、業務に関わる人件費はもちろんのこと、従業員が働くオフィスの賃料や業務で利用するシステム維持費など、あらゆる費用が固定費としてかかっています。こうした固定費は、時として自社の経営状況の圧迫につながってしまう可能性もあります。

しかし、BPOを活用することで、必要な人材を必要な分だけの利用になるため、変動費として処理が可能です。そのため、大幅なコスト削減が期待できるのです。

リソースの担保

現在、日本の企業は慢性的な人手不足に悩まされています。そのため、必要な事業に十分な人材を配置できず、事業成長が望めないなどの問題点があります。

しかし、BPOを活用することで自社の必要な領域にリソースを担保でき、コア事業に人員を投入できるなど、大きなメリットにつながります。コア業務に人員を集中できれば、生産性向上も期待でき、ひいては自社の収益向上も期待できます。

社外ノウハウの活用

BPOを提供している事業者は、対象業務を専門的に扱っているため、多くのノウハウを活かして業務を行ってくれます。そのため、これまで自社にはなかったノウハウや高いスキルを活用できるため、対象業務に関する心配は少なくなるといえるでしょう。

たとえば、経理部門のBPOを行った場合、決算書に関わる対応や税務に関わる対応の心配がなくなります。そのため、BPOを活用することで、自社の弱い部分を強みに人材を注力できます。こうした社外ノウハウの活用ができることも魅力的な点です。

業務効率化と顧客満足度向上

BPOを活用することで、対象領域の業務効率が望めるのはもちろん、必要な事業に必要な人材を割り当てることにもつながるので業務効率化が見込めます。

加えて、自社の弱い部分をBPOによって改善できるので、業務品質の向上にもつながっていきます。業務の品質向上ができれば、結果としてサービスを提供する自社の顧客満足度向上にもつながっていきます。


BPOを導入するデメリット

BPOを導入するデメリットは主に次のとおりです。それぞれのデメリットについて解説します。

  • ・導入までの期間とコスト
  • ・流動性の高い組織体制だと馴染まない
  • ・社内ノウハウの蓄積
  • ・セキュリティ対策の強化

導入までの期間とコスト

BPOはすぐに導入できるものではありません。これまで行っていた業務プロセスの確認から、委託する企業との打ち合わせ、業務プロセスの引き継ぎまで、完全に移行するためには数ヶ月単位で計画を立てる必要があります。

加えて、BPOにはコストが発生します。そのため、初期費用はもちろん、ランニングコストもいくらかかるのかをきちんと把握することが大切です。

BPOの目的の一つに、コスト削減があります。どれくらいの削減につながるのか、BPOを導入してどれくらいの期間活用すれば、費用対効果が得られるのかなどを算出することが大事です。

流動性の高い組織体制だと馴染まない

組織体制が頻繁に変わることは、社内の風通しが良くなる効果がありますが、BPOには馴染まないことが多いです。なぜなら、BPOを行った業務を委託期間中に変更することは、難しいからです。

組織の流動性が高いと、委託する業務範囲が変わってしまう、管理者がたびたび変更になってしまうなど、安定した稼働にはつながりません。また、業務の進行状況を正確に把握することも困難です。

そのため、BPOを行うタイミングと組織体制の変更が重なっていないかなどを確認するとともに、常に委託企業とのコミュニケーションを取り、状況を把握することが大切です。

社内ノウハウの蓄積

BPOは専門家に業務を委託する分、社内で業務に関するノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。そのため、委託期間終了後に、自社での運用も考えているという場合は、BPOを短期間に設定するか、BPOではなく一部をアウトソーシングする方法が適しているといえます。

また、委託期間終了後に内製化を行いたい場合は、必要なリソースを確保できず、想定以上のコストがかかってしまうことも念頭に入れておくと良いでしょう。そのため、BPOを依頼する際は、委託する事業領域についてのノウハウは蓄積されない、その後の内製化にはコストがかかるという認識を持つことが大切です。

セキュリティ対策の強化

BPOの事業領域によっては、顧客データはもちろん、従業員の個人情報など重要な情報を共有する場合もあります。こうしたデータが外部へ流出してしまった場合、自社の社会的信用は失墜してしまいます。

そのため、BPOを活用する際には、自社のセキュリティ対策を今一度見直すことも大切です。また、BPOを委託する業者ともセキュリティに関する取り決めを十分に行うなど、情報漏洩が起こらないように最善の準備をすることが求められます。


BPO事業者を選ぶ際のポイント

BPO事業者を選ぶ際のポイントとしては、次の4点をしっかり見ることが大切です。それぞれのポイントについて解説していきます。

  • ・専門領域が委託したい分野に適しているか
  • ・コストは適正であるか
  • ・セキュリティ対応の基準は満たしているか
  • ・業務対応の範囲はどこまでか

専門領域が委託したい分野に適しているか

BPOサービスを提供している事業者は増加しており、サービス内容も多様化してきています。総合的な業務をBPOサービスとして提供している事業者もあれば、専門領域に特化してサービス化している事業者もあります。

そのため、自社でBPO事業者を選ぶ際には、委託する事業領域がその事業者に適しているかを見極めることが大切です。実績はもちろん、サービス内容の精査などを行い、事業領域に適しているか判断していきましょう。

コストは適正であるか

コスト面も重要な選定ポイントです。費用対効果はもちろん、自社が求めているサービス品質に適しているか、リスク発生時の対応を見込んだものになっているかなどを確認することが大切です。

コストは、「安ければ良い、高ければ悪い」というものではありません。コストの内容について、きちんと説明ができる事業者であれば信用ができる事業者であるといえます。そのため、見積もりなどにおいてきちんと内容を確認すると良いでしょう。

セキュリティ対応の基準は満たしているか

前述したように、BPOを行う場合は、外部事業者に重要情報を取り扱ってもらうこともあるため、セキュリティ対応の基準を満たしている事業者かを判断する必要があります。

判断基準としては、情報セキュリティマネジメントシステムの規格である「ISO/IEC27001」や「JIS Q 27001」を取得していることや、適切な個人情報を取り扱っている証明となっている「プライバシーマーク」を取得しているなどが挙げられます。

また、過去の実績としてセキュリティに関する評価が高いかも調査することをおすすめします。セキュリティによるインシデントが起こってしまった場合、社会的信頼を取り戻すには多大な労力と時間がかかるため、事前に時間をかけて精査すると良いでしょう。

業務対応の範囲はどこまでか

BPO事業者が依頼する業務に対して、どこまでの範囲が対応可能か確認しておくことも大切なポイントです。なぜなら、想定していた業務範囲が、対応範囲外だった場合、業務効率化につながらないケースも出てくるからです。

たとえば、電話応対業務に対して、夜間や休日の対応を想定していたのにサービスの内容を見ると行えないといったことが挙げられます。そのため、サービス内容をきちんと精査して、対応範囲を理解する必要があります。

また、業務によっては委託範囲を細分化させ、いくつかの事業者に依頼することで、全体をカバーする方法もあります。自社に適した方法で依頼すると良いでしょう。


BPOの導入が多い事例

最後に、BPOの導入が多い事例として、次の3つを紹介します。

  • ・テレアポ獲得への導入(コールセンター)
  • ・急成長した市場への人的対応
  • ・バックオフィス業務への対応

テレアポ獲得への導入(コールセンター)

電話営業などコールセンター業務へのBPO導入事例は数多くあります。

ある企業では、見込み顧客獲得のためのテレアポとしてBPOを導入しました。課題としては現状のリソース不足のため、十分な営業活動ができないことでした。

BPO導入後、1,000件以上の顧客リストに対して、約15%のテレアポを獲得に成功。実際に営業担当が訪問を行い、効率的な営業活動へとつなげました。

急成長した市場への人的対応

市場が急成長したことによる対応のため、BPOを導入した企業もあります。

ある企業では、自動車リース市場が成長したことにより、契約台数が約2年間で500%アップという驚異的な伸びを達成しました。しかし、事業の成長に人的リソースが追いつかず、契約関連の事務作業が滞ってしまうという課題が発生しました。

そこでBPOを導入し、メンバーを約7倍に増員。業務対応はもちろん、トラブル対応まで行える体制を作り上げ、業務効率化を達成しました。

バックオフィス業務への対応

バックオフィス業務もBPOへの依頼が多い業務領域です。

ある企業では、営業事務の仕事にBPOサービスを導入した結果、営業が自身の営業活動により注力することに成功しました。さまざまな書類作成や資料ミスによる修正などの時間を削減することにつながったため、営業活動を効率化でき、業績も向上する結果となりました。


まとめ

BPOサービスは今後も需要が拡大し、市場が成長していくと考えられています。自社の経営戦略として有効的にBPOを活用できれば、自社の成長に大きく貢献することが期待できます。

今回お伝えした内容を参考に、自社のどの業務にBPOを導入すれば効果的かを検討し、動きはじめてみてください。

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