派遣社員向けの勤怠管理システムを導入するときは、自社の勤怠ルールに適したシステムかを確認することが重要です。勤怠管理システムの選択を誤ると、逆にコストや業務量が増大してしまう可能性もあります。
そこで今回は、これから派遣社員向けの勤怠管理システムを導入する方に向け、勤怠管理システムの基礎知識、メリットやデメリット、正しい選び方のステップをお伝えします。派遣社員の管理に特化したシステム「jobs」も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
派遣社員の勤怠管理の目的
派遣社員の勤怠管理は、「派遣元」と「派遣先」とが連携し行うものです。ただし、派遣元と派遣先とでは、それぞれ勤怠管理の目的が異なります。
「派遣元」の勤怠管理の目的
派遣元(派遣会社)は、派遣社員の雇用主として、給与支払・割増賃金支払・有給付与・社会保険手続・労災保険給付などを行います。
ただし、派遣先で勤務している派遣社員と常日頃から顔を合わせているわけではありません。それでも雇用主としての義務を果たすために、派遣社員の勤怠管理を正確かつ適正に行う必要があります。
「派遣先」の勤怠管理の目的
派遣先は、派遣社員に対して指揮命令を行う立場にあります。そのため、派遣社員の勤務状況の把握や、職場の衛生環境の管理・整備を行う必要があります。
給与や有給付与は派遣元で行いますが、それらを管理するタイムシート(タイムカード)の記録・管理・承認は派遣先で行うこととなります。近年、長時間労働など労務コンプライアンスの管理が強化され、派遣先にとっても勤怠管理の重要性が増しています。
派遣社員の勤怠管理で抱える課題や悩み

近年、労務コンプライアンス強化や働き方の多様化によって、従業員の勤怠管理は高度化・複雑化しています。それは派遣社員の勤怠管理においても例外ではなく、派遣元も派遣先も悩みや課題を抱えています。
ここでは、派遣社員の勤怠管理に関する課題や悩みを紹介しましょう。
正確な勤怠情報の把握が難しい
在宅ワークや時短勤務などが一般化し、場所・時間に囚われない働き方が浸透しています。この影響により、派遣社員の契約条件やシフトパターンが多様化・複雑化し、従来の方法では正確な勤怠状況の管理が難しくなっているケースが発生しています。
たとえば、派遣社員が在宅勤務を行う場合、新たに打刻管理の方法を検討したり、勤務実態を正確に把握するための対処が求められたりするケースもあります。そのためのコストや手間が増えている企業もあることでしょう。
リアルタイムで管理できることが求められている
派遣先が36協定の範囲を超えて派遣社員に時間外労働を行わせた場合、労働基準法違反となり罰せられます。
近年、労務コンプライアンスへの意識の高まりから、企業はこれまで以上に適切な労務管理が求められています。それに反するかのように、働き方の多様化によって勤務の実態を把握することが難しくなっています。
勤怠記録を行うタイムシートは、派遣社員が派遣先に承認をもらい、月末に派遣元に提出するという流れが一般的です。そのため、「気づいたときにはすでに法定労働時間を超えていた」というトラブルを未然防止するためには、できる限りリアルタイムで勤怠状況を把握できる必要があります。
勤怠データを一括管理できない
勤怠管理のルールや利用システムは、企業によって異なります。そのため、勤怠データを一括でまとめて管理することができず、一度エクセルなどで書式を整える手間がかかってしまいます。
たとえば、派遣元にとっては、派遣先から回収した勤怠データを、一度自社の勤怠管理システムや給与支払システムの入力書式に揃える必要があります。派遣先の企業が多くなればなるほど書式も多数となり、また回収時期もバラバラとなり、その集約には時間と手間がかかります。
一方、派遣先にとっても、複数の派遣会社を利用している場合、派遣会社ごとのルールに合わせて勤怠データを作成する必要があり手間がかかってしまいます。
勤怠管理システムとは?主な機
派遣元・派遣先が抱える勤怠管理の悩みを解決するのが、「勤怠管理システム」です。近年、さまざまな勤怠管理システムが各社からリリースされています。まずは、勤怠管理システムの基本的な機能について紹介します。
打刻機能
出退勤時間の打刻管理が可能です。PC・スマホによる打刻はもちろん、ICカード・指紋認証・LINEやSlack等のチャットツールを活用した打刻に対応しているものもあります。
シフト作成機能
勤務シフトの申請・調整・公開などを行うことができます。また、高度なシフト作成の機能を有する勤怠管理システムには、曜日・時間帯などの必要要員数に応じて自動で募集・管理を行うものもあります。
さらに、勤務時間だけでなく、仕事内容(役割)ごとの特定シフトを作成する機能を有するものもあります。
有給・残業などの各種申請機能
多くの勤怠管理システムには、休暇・有給・残業・遅刻・早退などのワークフロー(申請・承認)機能があります。管理者が承認した後は、自動的にシフトやスケジュールにも反映される仕組みとなっています。
アラート機能
アラート機能は、長時間労働・有給未取得など、コンプライアンスに抵触する可能性がある場合に、自動で管理者へお知らせしてくれるものです。
たとえば、派遣社員の打刻情報はリアルタイムにシステムに反映されるため、月単位・年単位で法定労働時間を超える可能性がある場合は、自動で管理者にお知らせし、未然にコンプライアンス違反を防ぐためのサポートを行います。
また、派遣先ごとの就業ルールに合わせ、アラートの条件を自由に設定することができるものもあります。月内の遅刻回数・出勤回数に応じ、ペナルティやマイナス評価を与える独自ル―ルを設けている企業も、このアラート機能の活用によってシステム管理が可能となります。
各種その他システムとの連携
多くの勤怠管理システムは、人事労務に関するあらゆる業務を一元管理するために、さまざまなシステムとのデータ連携が可能です。
連携できるシステムの代表例には、「給与計算システム」「経費精算システム」「人材管理システム」などがありますが、対応しているメーカーなどは勤怠管理システムによって大きく異なります。
勤怠管理システムを導入するメリット
続いて、勤怠管理システムを活用するメリットについて解説していきましょう。
自動化による業務効率化
打刻・シフト・各種申請など、勤怠管理に関わるあらゆる業務が自動化されることで、業務効率アップが期待できます。
たとえば、従来、タイムカード情報を給与支払いシステムに反映させるためには、手作業による入力や、エクセルデータをインポートする手間がかかりました。しかし、勤怠管理システムを導入すれば、打刻情報は自動的にリアルタイムでデータ化され、給与支払いに必要な情報をすぐに抽出することが可能になります。
また、これまでエクセルなどを利用し手作業で作成していたシフト表も、勤怠管理システムを導入することによって、ワンタッチで自動作成し、オンライン上で公開することができるようになります。
高機能な勤怠管理システムであれば、曜日・時間ごとに応じた必要人員の算出や募集管理も自動化することができます。つまり、これまで作業にかかっていた時間・工数・人員を大きくカットすることが期待できるのです。
情報の一元管理
勤怠管理システムには、打刻・シフトに関する情報だけでなく、人事情報・契約条件・給与情報など、さまざまな情報を盛り込む機能があります。
勤怠管理システムのデータ連携機能を活用することで、給与支払いや経費精算をよりスムーズに行うこともできます。つまり、勤怠管理システムの機能を上手く活用することで、一つのシステムに情報を集約し、情報の一元管理が可能となります。
また、従来のように複数のシステムを使って勤怠管理を行う場合、多くのシステムを利用すればするほどシステムの管理・メンテナンスなどの手間もかかっていました。勤怠管理システムを導入し、システムを一本化することで業務効率アップやコスト削減にもつながります。
ヒューマンエラー防止
勤怠情報の自動化・デジタル化は、ヒューマンエラーを防止することにもつながります。
たとえば、希望シフトや休暇・遅刻などの申請を行う際、紙の申請用紙を利用しているという企業は未だに多くあるでしょう。紙に記載された情報は、手入力によってシステムに反映する必要があるため、誤入力などのミスが生じやすくなります。また、申請用紙などの紙資料は紛失してしまうリスクもあります。
勤怠管理システムを利用することで、さまざまなデータ情報がダイレクトかつリアルタイムに反映されるため、上記のようなヒューマンエラーを防止することができます。
労務管理の強化
勤怠管理システムのアラート機能を活用することで、労務管理の強化が期待できます。
現在では、年次有給休暇取得の義務化(年5日以上)、36協定に基づく法定時間外労働の超過、労働時安全衛生法による全従業員の労働時間把握など、派遣元・派遣先問わず人事管理者には多くの業務が課せられています。
こうした環境の中でも組織全体の業績を上げていくためには、システムを活用しできる限り自動化してしまうなど組織を挙げた仕組みづくりが重要となります。
ペーパーレス推進
勤怠管理システムを導入することによって、紙カード式のタイムカード・各種シフトの申請用紙・配布や掲示用のシフト表を廃止することができます。つまり、パーパーレス化を推進することができ、企業のサスティナビリティ活動にもつながります。
勤怠管理システムを導入する際のデメリット
勤怠管理システムには「デメリット」とはいわないまでも、導入する際に必ず把握しておきたい注意点があります。ここでは、デメリット・注意点について解説していきましょう。
導入には時間・コスト・労力がかかる
勤怠管理システムの導入には、業務効率化・コスト削減・人員削減など多くのメリットが期待できますが、一方で導入のための時間・コスト・労力がかかります。
たとえば、新たに勤怠管理システムを導入する際は、これまで使用してきたシステムや勤怠ルールの廃止を求められるケースもあります。新たにマニュアルの作成や、旧システムの廃止によって他の業務に影響がないかなど導入後トラブルを防ぐための検証も必要となります。
また、新たなシステムへ移行するために、新システムと旧システムとを併行して運用するタイミングも発生するケースがあります。一時的ではあるものの、二重でコストがかかることになります。
そのため、経営側への理解はもちろん、各システムの契約時期・解約時期についても慎重な判断が求められます。社内や社外含め関係各所との事前の擦り合わせや、その準備期間も必要となります。
自社の勤怠管理ルールに関する専門知識が求められる
勤怠管理システムを導入する際は、実際に勤怠管理を行っている現場社員の知識が欠かせません。
新たなシステムを導入することによって、具体的にどのような影響があるか、自社の勤怠ルールに合ったシステムか、新たなシステムを活用した業務フローはなど、検討しなければいけないことは山ほどあります。
また、勤怠管理を行っている現場社員が、必ずしもデジタルやシステムに精通しているとは限りません。さらに、人員削減を目的としたシステム導入と理解すれば、新システム導入に対して抵抗感を抱く社員もいることが見込まれ、導入に関わるメンバーの人選も重要となります。
カスタマイズが必要となるケースがある
勤怠管理システムの中には、無料や格安な料金で利用できるものや、操作性や機能がシンプルで使いやすさを売りにしているものもあります。
しかし、管理対象となる派遣社員の人数規模が大きい組織や、複雑なシフトパターンや勤怠ルールを取り入れている組織の場合、安価でシンプルな勤怠管理システムでは対応できない可能性があります。
そのため、大規模な組織となれば、コンサルタント企業がシステム導入に携わることや、別途費用を払い自社の勤怠管理ルールに合わせた開発・カスタマイズを行うケースなどもあります。
管理者・派遣社員側それぞれへのシステム教育が必要となる
新たなシステムを導入した後は、対象となる派遣社員はもちろん、派遣社員を管理する担当者への教育が必要となります。派遣社員用のマニュアルだけでなく、管理者用のマニュアルも必要となります。
また、派遣社員の人数規模にもよりますが、新たなシステムの利用方法や、新たなシステムを利用した勤怠ル―ルが浸透するまでには時間がかかります。導入直後は、問い合わせやトラブルへの対応などが一定数発生することを見越し、運用開始をする時期についてもよく見定める必要があります。
勤怠管理システムの失敗しない選び方
勤怠管理システムを選ぶ際は、自社の勤務ルールに合ったシステムを選択するという考え方が重要です。ここでは、導入することが決定してから「やっぱり使えない」といった事態に陥らないために、失敗しない選び方について解説します。
現状の勤怠管理ルールを正しく把握する
自社の現行の勤務ルールを正しく把握しなければ、自社に最適な勤怠管理システムを選ぶことはできません。
たとえば、複雑な勤務シフトパターンで働く派遣社員が多くいる組織の場合、新たな勤怠管理システムを導入することにより、従来の複雑な勤務シフトパターンをシステム再現できなくなる可能性があります。
この場合、これまで採用していた勤務シフトパターンを廃止することも検討する必要があり、そもそも新システムを導入する必要があるのかといった議論になる可能性もあります。
現状の勤怠管理のコスト・工数を正しく把握する
新たな勤怠管理システムを導入することで、どれだけの工数やコストをカットできるのか把握しておきましょう。どれだけのインパクトがあるのか把握することで、社内における予算獲得や効果検証などに有効です。
そのためには、まず現行で使用しているシステムの利用料や作業工数を洗い出し、現行の勤怠管理フローを把握する必要があります。
自社の勤怠管理に関する課題や悩みを整理する
新たに導入を検討している勤怠管理システムでは、自社の現行の勤怠ルールを再現できない可能性もあります。
完全に自社の勤怠ルールに合ったシステムを導入するためには、カスタマイズや開発が必要となるケースもあります。しかし、その場合、開発期間も予算も膨れ上がる可能性があり、妥協をしなければならない機能なども出てくることでしょう。
そのため、新たな勤怠管理システムに何を望むのか、最低限必要な機能は何かという希望条件を優先順位付けする必要があります。
カスタマイズや開発を検討する
新たな勤怠管理システムを導入するにあたって、「この機能は譲れない」というものがあれば、カスタマイズや開発が必要となります。
勤怠管理システムを提供している会社には、自社に合わせたカスタマイズや開発を行ってくれるところもあるため、確認してみてください。見積金額や開発期間、希望条件の優先順位を比較し、最終的な導入判断を行うと良いでしょう。
派遣社員の勤怠管理なら「jobs」がおすすめ

最後に、当社ディップ株式会社が提供する中小企業向け派遣管理システム 「jobs」を紹介します。
jobsとは
jobsは、勤怠・労務・人事・顧客の情報管理、各種書類の作成など、派遣会社の業務に必要な機能をすべて兼ね備えたシステムです。あらゆる情報を一元管理することにより、業務効率化や生産性アップが期待できます。
また、jobsはクラウド型システムであるため、派遣会社も派遣社員も、場所や時間を選ばずに利用することができます。派遣スタッフは勤怠提出・シフト提出・お仕事情報の確認などをいつでも行うことができ、派遣スタッフとの円滑なコミュニケーションにも役立てることができます。
さらに、派遣スタッフの応募対応を自動化するシステム「HRコボットfor応募対応」と連携することにより、アサインを迅速に行うことができ稼働アップにつなげることもできます。
jobsの機能一覧
jobsの主な機能は次のとおりです。
- 顧客情報管理
- シフト提出~管理
- 出退勤の報告~管理
- コンプライアンス(抵触日管理、法改正対応等)
- 各種書類作成(契約書、請求書、源泉徴収票、見積書)
- 給与計算
- スタッフマイページ
- 案件情報管理
おすすめポイント
jobsの最大の特徴は、なんといっても派遣元の会社向けに、そして派遣スタッフの管理業務に特化したシステムとして開発設計されている点です。
一般に販売されている勤怠管理や労務管理のシステムは、より多くの業界業種に対応できるよう汎用的な機能や仕様となっています。そのため、多種多様なシフトパターンを管理する人材派遣業には不向きといえるシステムがあることも事実です。
一方、jobsは派遣業界に特化して開発されたシステムであるため、システム初⼼者が多い中⼩の⼈材派遣会社でも、不安を感じることなく活⽤できることは大きなメリットだといえるでしょう。
また、初期費用や利⽤⼈数に応じた従量課⾦などもなく、すべての機能が使える点も安心して利用することができる要素の一つです。
利用料金など
- 月額35,000円:Jobsアカウント:27,500円(税抜)+サポート料金:7,500円(税抜)
※初期費⽤・保守費⽤・追加費⽤はかかりません。
まとめ
派遣社員の勤怠管理は、自社の勤怠ルールに合ったシステムを選ぶことが重要です。
特に、多種多様で複雑な勤務シフトで働く派遣社員を多く管理している派遣元にとっては、一般的な勤怠管理システムでは自社の勤怠ルールに対応できない可能性もあるため、安易に決めてしまうことは控えてください。
新たなシステム導入後に「やっぱり使えない」「追加の開発費用が数千万円かかる」といった事態に陥らないよう、システム選びは慎重に行いましょう。
もちろん、どのシステムが自社にピッタリ合うかは、従来の勤怠管理フローと比較し、実際に試してみないとわかりません。今回紹介した「失敗しない選び方」を、ご自身の勤怠管理システム選びに役立ててみてください。
なお、当社ディップ株式会社が提供する 「jobs」は、派遣会社・派遣スタッフの管理業務に特化したシステムです。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽に当社ディップ株式会社までお問い合わせください。